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16年春リニューアルしました! 蒼辰が書くおハナシを随時アップしております。ちゃみのMCともども、読んでやって下さいまし。
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 第1話「誰だか知らないケド、あのステージを壊すことは許せないのデス」その4

 第1話「誰だか知らないケド、あのステージを壊すことは許せないのデス」その4

7・三曲目を用意して

 でかいシャボン玉の中で、
「ルゲーニ?」
 白いのが銀ののに聞くと、
「サマカッ」
 銀のが首を横に振ってる。
「ピンジャング・ツールンガだっ」
 訳わかんないこと言うと、ほかの四人の目が、ひっとひきつった。
 でもって銀のは、お尻のポケットあたりから、なにやら筒状のモノを取り出した。
 どっかをピッとすると、そいつがパタパタと折れ広がり、さらに折れ広がり、さらに・・と繰り返すうちに、直径50センチ、長さ1メートルほどの大筒になったのです。
 ん? 大筒?
 次にゴルフボールほどの玉を取りだし、またまたぴっとすると、それもぱたぱた折れ広がるを繰り返し、大筒にきっちり入る大玉となり、銀の銀髪男はそれを大筒に装填したのです。
「これ飛ばす。ばんっとなる。煙出る。煙あたるジンルイ、みなびりびり。分かる?」
 えっ?
 思わずひるみますよね、そりゃ。横ではミズキがもう頭抱えてました。
「お前たちのひとつばん壊されての困るのモノなに?」
 こいつ、かなり焦ってる。だって、声がうわずってんだもん。
「お前らが詰まってる、丘の上の窓つき四角い箱の並びか」
「は?」
「ほら、お前らみたいのが詰まってて、つまんなそうにしてる」
「ひょっとして、ウチのがっこ?」
 カズラが素っ頓狂な声を上げる。
「そう。これはっしょ、みんなびりびり」
 くっ。あたしの眉が、片っぽだけぴっと上がった。
 学園のみんながびりびりなんて、冗談じゃない。入ったばっかなのに。
 ぐいっと一歩前に出ると、巨大シャボン玉の中の銀の銀髪男、思わず後ずさり。
 けどそこはもう壁際で、頭の上には明かり取りの天窓が斜めにかぶさっていた。
 ふっと上見た銀の銀髪男が、ぬあんといきなし、大筒を頭の上にかかげて、真上にジャンプした。
 ガッシャ~ンッ・・!
 天窓のガラスがぐしゃっと割れ、破片がばらばらと巨大シャボン玉の上に降ってきて、あちこちに弾けてる。
 すると、テンポのいい音楽と、それに合わせた手拍子が聞こえてきた。
 GGC Wonderersのパフォーマンスがもう始まってるんだ。
「ラルブレッセ・スルーパのムスターシ、どこ? それ教えれば、みんなカンニングしてやる」
 どうもこいつの言ってることわかんね。
「知らないこと教えられないじゃん」
 カズラが言い返した。
「だから、知ってるのモノ、連れてくる。しゃべらせる。それ、お前にもか、のう」
 なんかずるっとくるしゃべりかた。
「しないと、ぼんっでぶわぶわ、みんなびりびり、い~の?」
 こいつら、Wonderersがパフォーマンスしてるステージに、びりびり玉を撃ちこむつもり?
 そんな・・・。
「い~のっ?」
 銀の銀髪男の焦りまくった声が響く。
 そんなこと、い~わけない。
 けど、どうすれば・・・。
「どうすればいい、コブシ」
「あ、ちょっと待って」
 コブシの声も、ちょっと焦ってる。
 *
「ハカセッ」
 隣の蔵地下で、コブシがモニターの中の四角い顔のおじさんに助けを求める。
「あ、さっきメイルした」
 ま~だソフトクリームぺろっとして、あっちいっちゃった。
「え?」
 コブシ、あわててコンソールをかちゃかちゃかちゃ。
 *
「コブシ、どうすりゃい~の」
「あ、あのね、きっぱり戦えば、防御殻は破れるって」
「ぼーぎょかく?」
「その、でっかいシャボン玉みたいなヤツ」
「きっぱり・・・」
「そうだ。きっぱり戦うんだ、ミズキッ」
 下川先生の声が響いた。
「それがお前たちの、シメイなんだ」
「だから、髙井カズラ」
「そのシメイじゃないってば」
「じゃ誰が指名したんですか」
 と、こちらスミレ。
「そのシメイでもないっ」
「与えられた、大切な任務のことっ」
 コブシの声が響く。
「与えられた、大切な任務・・?」
「そう。姉ちゃんたちにしか、できないことなんだ」
 あたしたちにしか、できないこと。
「ジンルイを、がっかりさせるなっ」
 また下川先生の声だ。
 ステージからは盛り上がる音楽の音が聞こえる。
 ふっと見ると、仲間に支えられて、アザミが、ユリエが、きれいなジャンプを決めている。
 わぁ~っと拍手が起こる。
「ぼんっでぶわぶわ、みんなびりびり、い~の?」
 焦った声で叫ぶ銀の銀髪男をきっぱりと見た。
 そんなこと、させない。
 そうだ。そんなこと、ぜったいにさせない。
 わたしはどうしてだか、きっぱりと思った。
 hey hey hey hey・・・!
 お客さんのコールが聞こえてくる。
 あの、盛り上がってるステージを、こんなヤツらにダメにされてたまるか。
「Wonderersのステージは、あたしたちが守る」
 見てろよ、ユリエ。
「あたしたちにしか出来ないっていうなら、そのシメイとやら、引き受けてやろうじゃないの」
「なんかいい」
「さっすがリーダー」
 アヤメとスミレ。
「しかしだな、カンナッ」
 先生、うるさいっ。
「そしていつの日か、歌と踊りの力で、GGCを越えてやるんだ」
 へ?
「コブシ、三曲目の用意」
「へ?」
「三曲目の音源を用意してっ」
「いいけど」
「さっさとやって」
「わかった」
 コブシが、戸惑いながらも姉ちゃんの言うこと聞いた。
「なんのつもりだ、ミズキ」
 先生の声が響いてる。
「だよね」
「三曲目って・・」
「ここで?」
 スミレもミズキもカズラもこっち見てる。
「誰も見てないのに?」
 アヤメも不思議そうに言ってる。
「うん、そう、ここで」
 あたしはやっぱり、きっぱりと言った。
「おい、ミズキッ」
 先生、るっさい。
 無視して、みんなを見た。
「みんな、さっきの気持ちを思い出して。Wonderersの二人に、上から目線で見下ろされたときの気持ちを」
「そ、そんなことを今・・・」
「そうじゃないっ」
 あたしは先生の声にきっぱりと言い返した。
 どうしてだか分かんないけど、あたしはきっぱりとしていた。
「ここが、この場所が、みるきぃクレヨンの、未来への第一歩なんだ」
 破れた窓から聞こえてた音楽が終わって、一瞬、その場がシンとなった。
 向こうもラストの一曲だな。
「コブシ、用意はできた?」
「うん」
「よっしゃ。みんなは?」
「そういうことなら、やるさ、三曲目」
 真っ先に、ミズキが前に出た。
「地球を守るアイドル、悪くないんじゃな~い」
 カズラが続いた。
「やるやるぅ~」
 アヤメがぴょんとジャンプして前に出た。
「しゃあない。乗るか」
 スミレも。
 これでメンバーの気持ちはひとつになった。
 たぶん。
「それでは聞いてください。みるきぃクレヨンの三曲目。『Just do it』」
 ぴっとメンバーが整列する。
 よっしゃ。


8・さぞやどや顔でステージに立ってるんだろな

「ミュージック・スタート」
 ヘルメットの中でイントロが流れ出した。
 この曲が好きだったんだ。少しだけアップテンポで、メロディーも気持ちよくて。
 ケイオンのアイツが作ってくれた、この曲が。
 さ、ステップ踏み出して、腕の振りも付けて。
 でもって、あれ? いつもより切れてるじゃない、踊り。あたしもだけど、みんなも。ぴしっと揃ってるし。
 さ、歌だよ。

♪just do it
 その一歩を踏み出せ
 キミならきっとできるから

 隣の蔵地下でも、映し出されるわたしたちの姿に、下川先生とコブシが目を丸くしてた。
 踊れてるじゃないか。
 キレもいいじゃないか。

♪退屈な昨日なんか
 置き去りにしてしまえ
 破り捨てろ 汚れた日記など

 それ、ワンツースリーと前に出て、踏みこんで・・・。
 いっけぇ~っ。
 巨大シャボン玉の中で、五人の変態銀髪男どもがびびりまくってる。
 よっしゃ、いっけぇ~っ。

♪just do it

 5人のキックが、巨大シャボン玉の表面に突き刺さった。
 すると、ぶよぶよぶにゃぶにゃしてたシャボン玉の皮が、まるでガラス玉を割るように、砕け散ったではないか。
 粉々になった小さな破片が、ばんっとふくれあがって、でもって、きらきらと空間いっぱいに舞っている。
 赤いのや、黄色いのや、緑のや、紫のや、ピンクのも・・・。
 あれ、あたしたちのイメージカラーといっしょじゃないか。
 きらきら、きらきら。

♪just do it
 その一歩を踏み出せ
 キミならきっとできるから

 五色のキラキラの中で、わたしたちは踊りつづける。
 まいて、まいて、でもって振って。
「あうっ」
「ぎゃっ」
 振った手がパンチになって、五人の変態銀髪男どもがつぎつぎとのけぞる。
 こうなったら、もう止まらないぞ。

♪恐れることなんかない
 明日はもうぼくたちのもの
 手に入れろ 光る1ページを

 ターン、ステップ、キック、でもって腕を上げて、伸ばして・・。
 ダンスの動きが、どれも相手への攻撃となって決まるではないか。
「わっ」
「んぎゃっ」
 変態銀髪男どもも、もはや頭抱えて突っ立てるしかない。

♪just do it
 その一歩を踏み出せ
 キミならきっとできるから

 今や、自分で体を起こした西淵のおじさんも、隣の蔵地下の下川先生とコブシも、わたしたちの動きに見とれてた。
 だって、切れてるんだもん。
 ホンモノのアイドルみたいに踊れてるんだもん。
 これなら、アザミやユリエに上から目線で見下ろされることもない。

♪just do it
 その一歩を踏み出せ
 キミならきっと キミならきっと
 叶えられるからぁ~~~

 最後のターンから、ラストのキック。
「うげっ」
「ぎゃっ」
 変態銀髪男どもが、全員どすんと、壁際で尻餅ついた。
 でもってこっちは、みんなで決めポーズ。
 その時、割れた天窓から、割れんばかりの拍手と歓声が聞こえてきた。
 もちろん、Wonderersのパフォーマンスが終わって、声援に包まれているのさ。
 ユリエも、さぞやどや顔でステージに立ってるんだろな。
 けど、こっちだって。
 あたしはほんのちょっとだけ、歓声が、わたしたちのもののような気持ちに浸った。
 どんなもんだい。
 あたし的どや顔で、目の前の銀の銀髪男を睨みつけた。
「てっ、たいてっ、たいっ」
 銀のが、落っことした大筒と大玉を拾い、ぱたぱたとたたんでポケットかどこかに突っこみ、
「るげーに!」
 甲高い声で叫んで、真上にジャンプして、割れた天窓から逃げ出してゆく。
 おや、けっこ身体能力あるじゃん。
 残る四人の変態銀髪男どもも、大慌てでつぎつぎとあとを追って逃げ出してゆく。
「まて~い」
 カズラが、追いかけようと前に出る。
 けど、
「姉ちゃんたち、外に出ないでっ」
 コブシの声が響いた。
「あっ、そっ。んじゃ、今日はこれくらいにしといてやるよ」
 カズラがつまんなそうに引き返してくる。
 と、
「ひゅ~~~」
 空気が漏れるみたいな声出して、西淵のおじさんが、腰が抜けたようにへたりこんじゃった。
「だいじょぶですか」
 慌てて、スミレとミズキが支えてあげてる。
「ひ、秘密は、守ったよ」
「はい、ご立派でした」
 下川先生の声だ。
「けど・・・」
「はい?」
「コ、コレクションが・・・」
「コレクション?」
「古伊万里に、古九谷に、京焼に、唐三彩に・・・」
 目線の先に、棚から落ちて粉々に割れた壷やら大皿やらが床に散らばっていた。
「高かったんですね」
 あたしは思わず、同情して言った。
「しかし」
 下川先生が答える。
「地球は、守られたんです」
 こくん。西淵のおじさん、無念のようす。
「そうよ、あたしたちが地球を守ったのよ」
 あーまーの体でカズラが胸を張ってる。
「実感、ある?」
「まぁまぁ、かな」
 スミレの問いにアヤメが答えてる。
 割れた天窓からは、まだ拍手と歓声が聞こえている。
 手を振りながらステージを下りるWonderersの姿が見えるようだ。
「いつか、あたしたちも・・・」
 気付いたら、声に出してた。
「Wonderersより、もっとおっきな、拍手と歓声をもらおう」
「だね」
 ミズキが頷く。
「けどさぁ、今のあたしたちのダンス、切れてたよね」
「うん、自分でもびっくりしちゃったもん。これが地球を救うのかって」
 と、スミレとカズラ。
「今のだったら、いけるよね」
「確かに」
 アヤメとミズキもつづく。
「みんなに、笑顔を届けよう。わたしたちの歌と踊りの力で」
 我ながら、じんせいでいっちゃんきっぱりと、みんなの顔を見ながら、言った。
「うん」
 メンバーのみんなも、きりっと頷く。
 わたしたち、今、イケてるんじゃね?
 と、思った途端、
「アイドル・パフォーマンスには使えないから、アーマー」
 下川先生の声がした。
「へ?」
 わたしたちの顔の筋肉から、あーまーが外れた。
 かくっ。
 その上、
「姉ちゃん、いっこごめん」
「なに」
「ハカセからの伝言、[きっぱり]じゃなくって、[しっかり戦え]だった」
 今さら、かよ。

9・地球常識が、ない

「ど~ゆ~ことなんですか?」
「そうですよ。なんにも聞いてないのに、いきなりバトルだなんて」
 リーダーのあたしが口火を切るべきだったかも。けど、部室に戻ると、スミレとアヤメが、もう下川先生に詰め寄ってたんだもん。
 あ、部室っつっても、元演劇部の倉庫だった、窓もない小さな部屋なんですけどね。
「わたしだって驚いたよ。そういうことがあるかもしれないと、聞いてはいたけど、まさか、ねぇ」
「ねぇ、じゃないですよ。ちゃんと説明してくださいよ」
 最年少アヤメ、勇士だ。
「だから、キミたちが、ハカセに、その、つまり、え、選ばれてしまったのだよ」
「ハカセ?」
「ほら、先々週、脳波とったときにいたでしょ」
「あ~あ~」
 みんな、なんとなく思い出した。
 そう、先々週、なんかのデータを取るお手伝いとかで、みんなの脳波を取ったんだった。
 そういえば、その時、四角い顔のおじさんがいたっけ。
 あれ、旧倉庫の一階だったな。
「ハカセって、なんのハカセなんですか?」
 と、聞いたのは、スミレ。
「ハカセは、宇宙人なんだ」
 うちゅ~じん?
「変人って意味?」
 カズラが聞いた。
「いや、ホントの宇宙人」
 顔を見合わせるわたしたち。
「UFOとか、信じる?」
 スミレが、みんなに聞く。
「あたしは信じる」
 即答したのは、カズラだった。
「やっぱいたんだ」
 腕組みまでするか。
「そう、その宇宙人が、地球を侵略しようとしているんだ」
「ヤバい」
 真剣に答えるカズラだったけど、わたしたちはリアクションに困ってた。
「けどハカセは、侵略に反対してて、それで、宇宙人が活動できなくなる装置を作ったんだ」
 また分かんなくなった。
「その装置を守るため、宇宙人と戦うのが、キミたちの使命なんだ」
「重いわ」
 腕組みのままのカズラが重々しく言う。
 この子、そっち系だったのか。
「でも、なんであたしたちなんですか」
 ミズキ、もっともな質問。
「だから、あのアーマーは、きみたちの脳波にしか反応しないんだ」
「はんのうはんぎょ」
 スミレのつぶやき。
「それを言うなら半信半疑」
 突っこむ下川先生。
「阪神ファンは下川先生でしょ」
 と、あたし。
「そう、六甲おろしを聞くと体が反応して・・って、そうじゃないでしょ」
 会話がかみあってません。
「誰かほかのヒトに代わってもらえないんですか?」
 と、ミズキ。
「うん、勉強と部活の両立だけでも大変なのに」
 こちら、スミレ。
「ムリ」
「ムリ?」
「選ばれちゃったんだもの、キミたちが」
「なんで?」
「だから、その、システムを開発したハカセがだな、キミたちの、その、ぴゅ、ピュアなハートに惚れてしまったのさ、あはは」
 あはは、じゃないでしょ。
 なんかごまかしてる。
 そう、実は、脳波取るのが、一人3000円のアルバイトで、バイト代は、揃いのオリジナルTシャツに化けていたのでした。
 でもって、あのあーまーは、その脳波でしか起動できない仕掛けになっていたのです。
 わたしたちがそれを知ったのは、ずっとずっとあとのことでしたケド。
「感動的だわ」
 すっかりその気になっているカズラだけが、マジで感動してます。
「怪我とか、しない?」
「だいじょぶだよ」
 アヤメの問いに反応したのも、カズラ。
「さっきだって、あんだけバトルったのに、そんな痛くなかったじゃん」
「その点は、ハカセも保証していた」
 あ、そうなんっすか。
「結局、それやらないと、アイドル騎士団、つづけられないってことなんですか?」
 ミズキが、不安そうな、マジメな顔で聞くと、
「なに言ってるの。アイドル騎士団の活動の一部よ」
 カズラが両手を腰に、胸をはって堂々と答えた。
「そう、そうそうそう、そう」
 と、下川先生。
「あたしたちが、地球を守るの」
 ってカズラ、ホンキかよ。
「買ってきましたぁ~」
 コブシが、コンビニの袋を下げて入ってきた。
「おう、ご苦労さん」
 コンビニの袋受け取って、下川先生がテーブルに置く。
「シュークリーム、先生の奢りだ」
「わ~いっ」
 シュークリームへの反応の速さでは世界一のアヤメが、早くも一個つかんで封を切ってる。
「今、ハカセと話してきたんですけど・・・」
 自分も一個取りながら、コブシが先生に話しかけてる。
「どこで?」
 突っこむのは、あたし。
「話の途中だから」
「なんであんたがまざってるのよ」
「姉ちゃんたちだけじゃ頼りないからだよ」
「なぬを?」
「いいから、ちょっとハナシ聞こうよ」
 先生に割って入られた。
 コブシ、あたしにぺっと舌だしてから、話を続けた。
 きしょっ。
「宇宙人が接近してくると、使っているパルスを感知して、発見できるはずだったんです」
 あたしもシュークリームた~べよ。
「それで?」
「でも、宇宙人もそれに気付いてて、パルスを出さずに接近したんだろうって」
「それで、西淵のご主人、襲われちゃったの?」
「問題は、なぜ西淵のおじさんが秘密を知ってるって、気付いたか、だって」
「なんでなの?」
「見当はついてるけど、確認してみるって言ってました」
「じゃ・・・」
 コブシが頷いている。
「まだ危険はあるかも」
 ひょえっ。下川先生が渋い顔してら。
「でも、対策は考えるって、ハカセが」
「だよね、じゃないと困るよね」
「でも、パルスが出てないとき、つまり、彼らの科学装置を使ってないときは、ふつうに人間なみのパワーしかないんですって」
「あ、そうなの」
「あと、もうひとつ」
「なに?」
「宇宙人を見破るポイントは、地球常識がないことなんだそうです」
「地球常識が、ない」
「はい。そこで、宇宙人だと見破れるって、ハカセが」
 ほ~お。
 *
「地球常識のレクチャーは受けたんだろうな」
 こちら、芸人風派手はで制服の、階級が高そうな宇宙人です。
 でもって、
「あ、はい」
 と、返事をしているのが、あの、西淵のおじさんを襲った、最初の銀髪男です。
 場所は、月の裏側に浮かんでいる宇宙船の中なんですってさ。
 どんなとこなんでしょ。
「なのに、なんでシャケ缶?」
「サケを、手に入れろ、と」
「俺がそんなこと言うと思うのかっ」
「はっ」
 だって、初めての地球がけっこう面白かったんだもん、と思ったらしいのですが、口には出しませんでした。
 賢明です。
「俺が言ったのは、サケンテの高度下がったポイントに、ラルブレッセのだな・・・」
「あの・・・」
 ヒトのハナシの途中で、銀髪男が怪訝に顔を上げました。
「自動翻訳機のバージョン・アップはされましたでしょうか」
「え?」
「作戦前に案内が」
「ウソで?」
 派手はで制服男が、口ぽかん。
「マジで、です」
 銀髪男が指摘する。
「バージョンが違うと、このように互換性の問題が生じるのだとか」
「だから?」
「コミュニケーションの阻害要因になると」
「それで?」
「たとえば、サケ、シャケ、サーモンのような・・・」
「もういいっ、下がれっ」
「はっ」
 銀髪男がうれしそうに退出していきました。
 さ、シャケ缶た~べよっと。
 憮然とした表情の派手はで制服男、窓、みたいなスクリーンにもたれます。
 そこには、宇宙から見下ろす地球の姿が。
「認めたくないよな。バカだから、ドジったなんて」
 ちなみに派手はで制服男、名前をヂャアというのだそうです。
 なんのこっちゃ。
 *
「今は叔父上のおかげで疑られている身の上だ。あまり目立つことはするな」
「てへぺろっ」
「しょうがないヤツだ。で、どうだった?」
「い~ところよ、地球って」
 すご~くい~声の、でもって超美形の男子と、透き通った声に、ちょ~かわゆい顔の少女。
 誰なの?
「兄さんも、行ってみる?」
「悪くないね、地球常識でも学びに行こうか」
 すらりとした体を少しだけ折り曲げて、テーブルに両手をつき、その表面のスクリーンを見下ろします。
 そこにも、地球の姿が。
「シュバリアンか。叔父上のやりそうなことだ」
「戦ってみたい?」
「そうだな。いずれ、宇宙に出てきてもらおうか」
 すると、映像がどアップになり、グーグル・マップおっきくするときみたいに、ちゃかちゃか拡大され、おしまいに巌厳学園の校舎になったのでした。
 そっ。見えている第二校舎の一階の隅っこに、わたしたちがいるわけです。
 *
 でもって、わたしたち。
「あんただって地球常識ないじゃない」
 シュークリーム食べながら、コブシに言ってやります。
「姉ちゃんよかよっぽど地球常識もってますよ」
「どうだか」
「だからハカセから、姉ちゃんたちの面倒を見るように頼まれたんだもん」
「なぬ?」
 コブシめ、なんか威張ってやがる。
 ふんっ・・と、足組んだら、あら、靴が汚れてる。
 まじまじと見るあたし。
「ねぇねぇ、シュークリームのクリーム、靴に塗ってもいいのかな」
「え?」
「だってシューって、靴のことじゃん」
「へ?」
「地球常識が、ないっ」
 え? なんでなんで? なんでみんな、あたしのことそんな目で見るわけ?

 そんなわけで、わたしたちは今、こんなことになってマス。

[おわり]
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by planetebleue | 2016-04-28 17:13 | アイドル騎士団
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