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16年春リニューアルしました! 蒼辰が書くおハナシを随時アップしております。ちゃみのMCともども、読んでやって下さいまし。
by planetebleue
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第2話「地球を守るアイドルにも、練習場所がいるのデス」その4

 7・やってくれますよね、叔父上も

 さて、こちら外。
 大慌てで外に飛び出したヂャアと五人の変態銀髪男ども、懸命になって逃げ道探してます。
 それを追いかけるわたしたち。
「色違いっつうか、一人だけ違うカッコした男さえ確保してくれればいいって」
 コブシの声が響く。
「分かった」
「じゃ、カンナはそいつを」
 ミズキの声だ。
「あたしたちがガードするから」
「ヒュウッ」
「なに?」
「タノモシィ」
「いいからっ」
「あいよっ」
 走りながら見ると、体育館の角を曲がってった。
 あっちは、駐車場だ。
 だだだっと駈けこむと、ヂャアたち、どっちに行ったものかおろおろしてた。
 マップとか、ないわけ?
「そこまでだね」
 言って、ひるむ合わせて六人に向かってすたすたと歩き出す。
 あたしちょっと、カッコよくね?
 左にはスミレとカズラ、右にアヤメとミズキ。扇形に広がったとこは、ありゃま、戦隊ヒーローだわ、わたしたち。
「待てっ」
 逃げる構えのヂャアに向かって突進した、その時だった。
 バサッと落ちてきた大きな網が、ヂャアと五人の銀髪男をそっくり捕らえていたのだ。
「え?」
 頭上を見ると、なにやら銀色のヒコーキみたいのが浮かんでて、六人を捕らえた網を吊り上げている。
 *
 ヒコーキみたいののコクピットにはもちろんカント。
 デモ、その時はまだ、そいつのことなぁ~んにも知らなかったんですケド。
「こんなマンガみたいな、原始的な方法をとらなくちゃいけないなんて、やってくれますよね、叔父上も」
 ぶつぶつ言いながら、ヒコーキ操作してる。
 *
 なんだこれは?
 六人を入れた網を吊り上げ、機内に回収しようとしているヒコーキを見上げた。
 ヂャアとその一味がほっとしたような顔してるとこ見ると、このヒコーキも宇宙人のモノ?
 六人組が重いんだかなんだか、ヒコーキ、三階の窓くらいの高さまで下がってきてる。
 いけるかも。
 とっさに、向こうのフェンスまでダッシュして、そこに飛び上がる。
 すぐそこに翼が見えてんじゃん。
 なんなんだろ。好奇心? 正義感? それとも、使命ってヤツのせい?
 答えがないまんま、あたしはフェンスを足場に、ヒコーキの翼に飛び移っていた。
 翼が、ぐらりと傾く。ったって、つかまるとこもないぞ。
 四つん這いの姿勢で、顔だけ上げた。
 すぐそこに、キャノピーってゆうの? 透明なガラス(たぶん)に覆われた中に、ヒトまたは宇宙人がいた。
 そいつが、揺れる機体に驚いてこっちを見る。
 うっわっ。すんげえ美形の男子だ。
 目が合う。まだ驚いたような顔のまんま、じっとこっち見てる。
 あたしの顔・・いえ、ヘルメットのバイザーに、なんかついてる?
 そしたら、磁石でくっついてるみたいに、視線が外せなくなった。
 そいつの、濃い青緑をした、澄んだ瞳から。
 時間が、止まったみたいだ。
 と思ったとき、キャノピーにヂャアご一行さまがどやどやと入ってきて、ごたごたになった。
 ちっと、舌打ちするみたいな動きがあって、イケメンがなにかを操作すると、翼が左右に揺れた。
「わあっ」
 なんせつかまるとこもなぁ~んもない翼の上。あたしはあっけなく、ころんと地面に墜落してた。
「カンナ、だいじょぶ?」
 すぐ、スミレが助けに来てくれる。
「ああ、だいじょぶ」
 立ち上がって見上げると、銀色のヒコーキはもううんと高いとこにいて、あっという間に飛び去ってしまった。
「誰なの?」
 声に振り向くと、アザミとユリエがいた。
 お目々まん丸にして、わたしたちを見てる。そらそうだ。まるっきり不審者だもんね。
 瞬間、ユリエと目が合った。
 不思議そうに、じっとこっち見てる。
 やばっ。バレた?
「ハケて、姉ちゃんたち、早くハケて」
 コブシの声が響くのと、
「誰なの、あんたたち」
 アザミが強い口調で言うのが同時だった。
 すると、次の瞬間、
「アース・アーマー・ファ~イヴッ」
 カズラがけったいなポーズとって叫んでた。
 アザミとユリエがポカンとなると、
「失敬っ」
 片手を上げて、くるっと振り向くと、ダッと走り出してる。
 あ、そういうこと。
「失敬っ」
 なんか分からんけど、あたしもマネして、くるっ。ほかのメンバーもそれにならった。
「クルマは?」
「正面側」
「あいよっ」
 正面側に回ると、もう下川先生とコブシがハイエースに乗って待っていた。
 わたしたちがどどどっと乗りこんでクルマが走り出したころ、
「アース・アーマー・ファイヴ?」
 さっきの場所では、アザミとユリエがぽかんと顔を見合わせていた。
 *
 でもってこちらは、カントの宇宙艇の中。
 もともと四五人用のスペースに、六人も乗ってきたもんだからもうぎゅうぎゅう。
「押すなよ、操縦できないだろ」
「俺の宇宙艇はどうする?」
「オートで帰還させろ」
「あ、そうか」
 って、どうもヂャアってジンブツ、あんましデキのいいヒトじゃないみたいね。
 あ、ヒトかどうか知りませんケド。
 ふぅっとため息ついて、カントが言う。
「それより、もう地球に下りるのはやめたほうがいいんじゃないのか」
「え?」
「キミの叔父さまが勘づくと・・・」
 そこまで聞いただけで、ヂャア、むっと黙りこんじゃった。
 なんなんでしょ。
 そんなことより・・・。
 カントは、操縦に集中するフリをして、ふっと遠くを見た。
 あの目、どうやら忘れられなくなりそうだ、と。
 *
「アース・アーマー・ファイヴって・・・」
「なんか決め台詞あったほうがいいかなと思って」
 あたしの問いにカズラが答える。
「分かるけど」
「イマイチだった?」
「う~ん」
「じゃさ、もっとカッコいいの考えよ~よ」
 アヤメが間に入る。
「分かった、そうしよ」
 なんせ、なにもかもが未完成のわたしたちです。
「でもさ、あれ着てると、あちしたちイケてるよね。動いてても気持ちいいし」
「動きはよくなるけど、気持ちいいか?」
 アヤメに同意しないミズキです。
「気持ちいいよ。再び地球は守られたんだから」
 と、カズラ。
「あれで?」
「実感ないよね」
 ミズキとスミレ。
 ま、確かに。地球を守るとかどうとか、そんな実感はどこにもないケド。
 でも、あの見たこともないヒコーキ。やっぱしホントに、宇宙人がいるんだろうか?
 そしてあの、深い青緑の、澄んだ瞳・・・。
 ケド、あれ着て動いてると気持ちいいってゆうのは分かる気がする。
 ダンスだって、キレてたもんな。
「あ~、あれでアイドル・パフォーマンスしたいっ」
「それはダメなのっ」
「は~い」
「がっこ帰って練習しよ」
「は~い」
 返事のトーンが下がった。
 しょうがないよ、アヤメ。


 8・わざとへたっぴに踊ってるわけ?

「聞いてみたいことがあったんだけどなぁ」
 モニターの中で、四角い顔のおじさんがのんびりと言います。
「接触しちゃまずかったんじゃないですか?」
 そこはにしぶち酒店さんの古い蔵の地下。DJブースみたいなコンソールに向かったコブシが、モニターのおじさんと会話してます。
 そう、モニターの四角い顔のおじさんこそ、ハカセなのです。
 ど~ゆ~ハカセか知らないんだケド。
「いや、勝手に単独で行動してるっぽいんだよね」
「どうして分かるんですか?」
「知り合いっぽいんだ」
「知り合い?」
「うん。だから、向こうのようすも少し分かるかなと思って」
「で、どうします?」
「う~ん」
 考えこむハカセ。
「対策練ってみるわ」
 のんびり言って、そこで会話は終わったそうです。
 そんなことで、地球は守られるんでしょうか。
 *
「そうだ」
 い~こと思いついたときのクセで、唇片っぽだけ上げて、スミレが言う。
「先生、練習のとき、クルマ動かしてくださいよ」
「なんで?」
「ほら、空いたスペースで練習できるじゃないですか」
「あ、それいい」
 あたしが乗ります。
「確かに」
 と、これも口癖っぽいミズキの反応。
「けど、クルマは・・・」
「あっちの通路に置いとけばいいじゃないですか。ギリ寄せて」
 これ、カズラ。
「しかし・・・」
「練習の間だけでいいから」
「ねっ」
「しょうがないな」
 下川先生、渋々クルマを移動させます。
 よっしゃ。どうにか練習場所を確保したわたしたち。
「ちょっと」
 と、そこにあらわれたのは、なんとアザミとユリエ。後ろにちっちゃい子が五人くっついてます。
 いきなり、
「ウチの入学したばっかの中一部員とダンス勝負しない?」
 ですと。
「え?」
「勝ったら、練習場所確保してあげるよ」
 挑発的に、こっち見てます。
「あ・・・」
 正直、どう答えていいか分からなかった。
「やってやろうじゃん」
 真っ先に前に出たのはカズラだった。けど、まだアーマー気分でいない?
「あやりん、乗った」
 まだ中三のアヤメが、ぴょんと前に出る。
 この子、カズラ・ファンになったかも。
「真剣勝負だよ」
 ちょと懐疑的に言うミズキ。
 わたしたちの中では踊りがうまいだけに、慎重なのかも。
 でも、
「やるっきゃないっしょ」
 少し口尖らせたスミレも前に出る。
「みんな・・・」
 そう簡単に負けるもんか。みんながそう思ってる。
 結成してまだひと月ちょっとだけど、みんなけっこやる気になってるじゃないか。
 あたしはなんだかうれしくなった。
 だって、リーダーですもの。
「ようし、受けた」
 胸を張って、大きく一歩、前に出た。
「じゃやってみようか」
 中一の子が、持ってきたラジカセをセットする。
「曲は?」
 アザミに聞くと、
「『学園のある町』」
 ですと。
「あたしたちの曲じゃん」
「振りは完コピしてあるから」
「はい、スタンバイッ」
 ユリエの一言で、五人の中一生がぴしっと並ぶ。
 その顔を見ながら、わたしたちも向き合って一列に並ぶ。
「いい、いくよっ」
 ユリエがラジカセをピッ。
 あたしたちの歌の、イントロが流れ出す。
 教わったとおりの振り付けで体動かし始めて、びっくりした。
 なんだこいつら。あたしたちの曲の、あたしたちの振り付けを、なんでそんなにピシッと踊れるわけ?
 それにひきかえあたしたち。
 体にアーマーの残像が残ってるんだかなんだか、なにしろ重い。だから、とろい。
 てれてれ見えてんだろな。
 あ、歌だ。

♪学園のある町には
 いつでも夢が駆け抜ける

 四小節で、あたしたちの歌が情けなくなった。
 だって、なんでこいつら、こんなキレイな声で、あたしたちの歌をぴしっと揃って歌うんだ?
 目の前でこんなにピシッとキレイに揃って歌われて、踊られたら。
 あたしも含めて五人全員、どぎまぎってゆうかなんてゆうか、どうにもぴりっとしなくなっちゃった。
「口惜しかったら、ちゃんと踊ったら」
 アザミがトゲのある声で言う。
「みんな、ちゃんとやろっ」
 むっとして声かけて、自分も気合い入れた。

♪駅からつづく長い坂道の~ぼ~り~
 振り向けばそこに
 ほら 輝く未来が広がっているぅ~

 ケド、実力差は歴然としてた。
 こりゃダメだ。
「止めっ」
 アザミがきぱっと言った。
「わざとなの?」
「は?」
「わざとへたっぴに踊ってるわけ?」
 怒ってるみたいな言い方しやがる。
「いや・・・」
 なんて答えていいか分かんないでいると、いつの間にか戻ってた下川先生が間に入った。
「これが実力」
 生徒に向かってへらへら笑うなよ、先生。
 はっと短く強いため息つくアザミ。
「やっぱこいつらじゃないっすよ」
 しゃがんでたユリエが、立ち上がりながら言う。
「だね」
 と、アザミ。
「じゃあれ、誰だったんだ」
「やっぱりウチの生徒じゃないんじゃ?」
「くさいと思ったんだけどな」
 言いながら、もう背中向けて去ってゆく。
 その言葉、ちゃんと耳に入ってたのに、さっきのわたしたちのことだとは気づかなかった。
 あたしも相当、ニワトリかも。
 でもって、また悔しい思いした。
 一年生もいなくなって、ぽつんと残されるわたしたち。
「勝負の判定は・・って、言うまでもないか」
 はいカズラ、そのとおりです。
 さらにそこに、あっちの方から声がする。
「下川先生、通路にクルマ置かないでください。所定の位置があるでしょ」
「あ、すいません」
 先生、慌ててクルマに走る。
 やれやれ、ここもやっぱダメか。
 仕方なく顔を見合わせるわたしたち。
 まぁ~た練習場探しからです。
 前途は多難。
 アイドルの道は険しい。

[つづく]
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by planetebleue | 2016-07-19 16:10 | アイドル騎士団
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