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16年春リニューアルしました! 蒼辰が書くおハナシを随時アップしております。ちゃみのMCともども、読んでやって下さいまし。
by planetebleue
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第2話「地球を守るアイドルにも、練習場所がいるのデス」その3

 5・やっぱちょっとカッコいいっすね、このアーマー

 とんだ展開の人質事件に、体育館中わさわさしてる中で、アザミとユリエだけは不思議そうに顔を見合わせていた。
「踊りのうまい、五色の五人組、って?」
「あたしたちじゃ、なさそうっすよね」
 どうにも気になってしょうがなかった。
 *
 と、ちょうどその頃、ハイエースが駐車場に滑りこんだ。
「キミたち、分かってるな」
「はいっ」
 コブシとともに体育館に走る下川先生を見送って、わたしたちはそれぞれのカラーのトランク持って、ハイエースの脇へ。
 蓋開けたトランクの中に立って、へ~んしんっ!
 がちゃがちゃがちゃ。パーツが装着され、ヘルメットがぱかっとはまり、アーマー姿の完成でございます。
 窓ガラスに映るその姿は、う~む、我ながらカッコいいかも。
 *
 その頃、体育館の玄関では、知らせを受けて走ってきたGGCの顧問・鈴木涼子先生とカデット・ヘッドコーチが、下川先生とばったり。
「あら、下川先生」
「あ、ああ」
「どうして?」
「え、ええ、え~っと・・・」
 下川先生、鈴木先生もカデット・コーチも美人だもんで、いっつも挙動不審に陥るのです。
「早く中行ったほうが」
「あ、そうね」
 コブシの機転で、先ずは鈴木先生とカデット・コーチに続いて、体育館の中へ。
「どうしたの?」
「なにがあった」
 フロア真ん中のアザミとユリエの元に走り寄る鈴木先生とカデット・コーチ。
 その背中ぼぉ~っと見送る下川先生と、すかさず状況を観察するコブシ。
 こいつ、なんかこういうとこ要領いいんだよな。
「先生、あの準備室、二階がありましたよね」
「そうだっけ」
「ええ。中に急な階段があって、テラスみたいな二階に上がれるんです。でもって、二階にもドアが」
「なるほど」
「あと、ヤツらの後ろにも、直接外に出られるドアがあるんです」
 ヂャアのなんかわめく声が聞こえてて、鈴木先生とカデット・コーチが、目を丸くしてすくんじゃってるのが背中からでも分かる。
 そんな中、冷静なのはコブシと、
「そうか」
 と、頷く下川先生。
「で?」
 って、ありゃ、分かってなかった。
「だから、二階から飛び降りれば、人質は確保できると思うんです」
「うん」
「そのあとで後ろのドアから突入すれば、ヤツらは正面から逃げるしかなくなります」
「なるほど」
「ハカセとの回線は空いてますから、その時点で指示を受ければいいんじゃないでしょうか」
「そうしよ、そうしよ」
「上から姉ちゃんとミズキさん、スミレさん。外からアヤメさんとカズラさんでどうでしょう」
「よし、それでいこう」
「じゃ、姉ちゃんたちに作戦伝えてきます。先生は、事務所から鍵を」
「あ、ああ、鍵ね、分かった」
 って、なんかコブシのが指揮官みたいじゃん、これじゃ。
 ま、ともかく、コブシはスマホで博士の指示を仰ぎながら、駐車場のわたしたちの元へ走り、先生は事務室に鍵を取りにゆきました。
 その頃、人質を取られ、訳の分からないことをわめくヂャアに、鈴木先生もカデット・コーチもただただ顔を見合わせておりましたとさ。
 *
「よっしゃ、分かった」
 コブシから作戦を聞いたわたくし・カンナが答えます。
「ほんで、ヤツらさんたちはどうすんの?」
「ハカセが、映像分析しながら指示するって」
「ふ~ん」
 なんとなく釈然としないわたしたち。
「相手が誰か、確認したいんだって」
「ふ~ん」
 そんなこと言われたって、よく分かんないしぃ。
「人質を確保することと、とりあえず逃がさない。先ずはそこまでだから」
「了解」
 って返事を返すと、なんかチームっぽい感じがした。
「じゃ、位置について」
「コブシ、あんたは?」
「クルマから姉ちゃんたちに指示出すから」
「あっ、そっ」
 チームっぽいのはいいけど、弟が指示役かい。
「カズラ、アヤメ、頼んだよ」
「オッケー」の二重唱。
「スミレ、ミズキ、行こう」
「おう」
「うん」
 あたし、リーダーっぽいっしょ。てへっ。
 てなわけで、スミレとミズキを従えて、通用口から二階に向かう。
 カズラとアヤメは、体育館を回りこんで、準備室のドア外に向かう。
 二階に上がると、ちょうど下川先生が鍵持ってやってきた。
「今、開けるから」
 ちょっと耳を澄まして、ヂャアがなんかわめいてるタイミングで、カチャッ。
 下川先生が親指立てて、カズラたちのほうのドアを開けに行く。
「先生が側面のドアを解錠したら行動開始だから」
 コブシの声がヘルメットの中に響く。
「りょ~かい」
 スミレとミズキと、ドア外の廊下でちょっとかっこつけて身構えた。
 しかし、下川先生もわたしたちも、そしてコブシも、カズラとアヤメにはふざけ癖があることをまだ知らなかったのだった。
 *
 そもそもねぇ、下川先生がカズラたちのとこに向かう途中で、「あ」って、鍵落とした上に、「あや」って広いそこねたのがいけないんですよ。
 そんなことしてる間にアヤメが、
「カンナさんたちが人質確保したら、あちしたちの出番ですって」
 と、どこかのんびりした声で。
「ど~んと飛びこんで、わ~っと脅かしてやりゃい~んだろ」
 根拠ない自信ぶちかますカズラ。
「カッコよく決めちゃいます?」
「当然だろ」
「やっぱちょっとカッコいいっすよね、このアーマー」
「ポーズとかとってみちゃう?」
「こんな感じ?」
 戦隊モノ風のポーズとるアヤメ。
「違うちがう。もっとこんな風にさ」
 アメコミ風のポーズ決めるカズラ。
「でもって、ダッシュ」
 って、スパイダーマンかい。
「お~、い~感じ。キレてた?」
「もっといけんじゃないっすか」
「よっしゃ。ダ~ッシュ」
 ガッとダッシュするカズラなんだけど、三歩目で石にけっつまづいちゃった。
「わあっ」
「オッケー、フルパワー出てます」
 ヘルメットに声が響いたときには、
「わっわっ」
 止まらなくなったカズラの、フルパワーのアーマーの破壊力はすごかった。
 ぐわっしゃ~ん。
 ドア突き破って、準備室に突進しちゃったよ。
「カズラッ、やりすぎっ」
 アヤメもしょうがなしに、っつうか、反射的に、準備室に突進した。


 6・無様なものだな、クズどもが

 準備室では、いきなり背後のドアをぶち破って飛びこんできたカズラに、ヂャアたちと、ついでに人質の中学生女子もびっくり。
「なんだぁ?」
 と、ヂャアが振り向いたところに、
「とあ~~っ」
 突進してきたアヤメががっつ~ん。
「のっわ~っ」
 ヂャアさま、アヤメに体当たりされて、吹き飛ばされている。
 その音聞いて、二階ドアから準備室に入ったわたしたちはあっぜ~ん。
「あの二人、作戦ってコトバ知ってんの?」
 と、ミズキ。
「あたしたちのい~とことらないでよ」
 と、スミレ。
 ん? 二人とも、それすっかりヒーロー気分だよ。
「あっだぁ」
 下では、弾き飛ばされたヂャアがやっと上半身を起こす。
 そこには、頭からスライディングしたカズラを助け起こすアヤメと、まだ中学生女子の腕をつかんだままの五人の銀髪男どもがいる。
 二対六。
 ヂャア、思わずほくそ笑んだ。これなら・・・。
 ケド、
「あらわれたな、シュバリ・・・」
 までしか言えなかった。
 ヂャアの台詞とほぼ同時に、
「行くよっ」
 と、あたしが一言。
 つぎつぎと二階のテラスから飛び降りると、先ずあたしが銀髪男にがつんっと一発。
 スミレも、ミズキも、つぎつぎと中学生女子の腕を押さえていた銀髪男どもを襲う。
 さらに、体勢を整えたカズラとアヤメのキックが残りの二人を見舞った。
「うわっ」「あっ」「んげっ」とそんな声がつぎつぎと聞こえてきて、あっという間に三人の中学生女子は救出されたのでありました。
 カッコいいじゃん、あたしたち。
「逃げなっ」
 中学生女子三人を体育館のフロアへと逃がし、あたしたち五人は、ヂャアと五人の変態銀髪男どもを取り囲む。
 あ、ヂャアって名前は、その時まだ知らなかったんですケドね。
 *
「キャプテンッ」
「先生っ」
 解放された中学生女子が、アザミや鈴木先生やカデット・コーチに飛びつく。
 その回りには、ドア破壊された準備室を遠巻きに覗きこむようにCCC部員が集まっている。
「だいじょぶ?」
「はいっ」
 って、そんな型どおりの会話の間も、アザミとユリエの目は、準備室の中に釘付け。
「誰なの、あれ」
「なんとかレンジャー的なアレですか?」
「映画の撮影じゃないよ」
「じゃ・・・」
「五人いて、五色だ」
「確かに・・・」
 *
 さて、そんなアザミとユリエの目を釘付けにしたわたしたち。
 こないだよか一人多いけど、たった今も感じた実力差ならなんとかなるでしょ。
 それどころか、実力差実感してる銀髪男のが、びびり始めていた。
「ど、どうするつもりだ、シュバリアン」
 しゅばりあん? それ、なんのことか分かんない。
 ヂャアとしては精一杯の虚勢だったんだけど、後ろから袖引っ張ったヤツがいた。
 そう、あの筆頭銀髪男。
「ヂャアさま、ルダブ・イルカクーコしかないかと」
「なんで?」
「ルゲーニガチーカ」
 筆頭銀髪男が言い聞かせ、
「ルゲーニガチーカ」
 ヂャアがほぼ納得します。
「しかし、あれはこの前・・・」
「じゃ、ほかに方法があるのかよっ」
 別の銀髪男のコトバに、筆頭がぴしゃり。
「イルカクーコで逃げましょ」
「そっか」
「そうしましょ」
 てなわけで、またぞろ、あの色もカタチもレモンみたいなものを、筆頭銀髪男とヂャアが一個ずつ取り出す。
 そいつをぎゅっと握りつぶすと、ぶおっと分厚くてでっかいシャボン玉みたいなものが広がり、ヂャアと銀髪男どもを二重に包みこんだ。
「ルゲーニ」
 シャボン玉の中で、ヂャアと五人の銀髪男どもが走り出す。
「やるかっ」
 ポーズとったカズラが、シャボン玉の表皮に弾き飛ばされ、
「ルゲーニ、ルゲーニ」
 なんかリズム取りながら、シャボン玉ご一行さまが、準備室から体育館フロアへと逃げ出そうとしている。
 *
 そのありさまは、ロボット・カメラ蜂によって、カントの宇宙艇のモニターにも映し出されていた。
「無様なものだな、くずどもが」
 カントの宇宙艇が、急激に高度を下げ始めたらしい。
 *
「わ~っ」
「きゃ~っ」
 準備室の破壊されたドアから、うにゅ~っとはみ出てきた巨大シャボン玉に、フロアのGGCメンバーが後ずさっている。
「どうする、コブシ」
「あのイルカクーコって、接触したヒトを巻きこんだり、怪我させたりすることもあるんだって」
「えっ」
「だから先ず、それを避けてくれって」
「んなこと言われても・・・」
「ようっしゃ、キ~ックッ」
 こっち側でカズラが回し蹴りを見舞うが、二重のせいか弾き返されてる。
 それどころか、巨大シャボン玉を体育館フロアに押し出しちゃった。
「キャ~ッ」と悲鳴が聞こえて、フロアがパニくっているみたい。
 まずいよ。
「もっとパワー上げないと」
 って、コブシ。
「どうする?」
 スミレの声もした。
 さぁ、どうする? カンナ。
「ようっしゃ、コブシ、あの曲の用意を」
「え?」
「これが、原点なんだよ、きっと」
「げんてん?」
「悔しかったアイドルデビューの、その悔しさをいつか晴らすための、あたしたち[みるきぃクレヨン]の、未来へのつぎの一歩なんだよ」
 あたし、カッコいい?
 一瞬の間があって、
「りょ~かいっ」
 四人の声が返ってきた。
 よっしゃ。
「コブシ、いい?」
「音、出します」
「みんな、Just do it」
「Just do it」
 体育館のフロアに飛び出して、ぴしっと整列する。
 その瞬間、わっと視線が集まるのを感じる。
 そらそうだ。五色の戦隊モノ風アーマー姿の五人が飛び出してくりゃ、体育館中のGGCメンバーが注目するのは当たり前。
「誰なの、あれ・・・」
 アザミがつぶやき、ユリエもお口ポカンとこっち見てる。
 見てろよ、ユリエ。
 いくぜ。
 ヘルメットの中でイントロが流れ出す。やっぱ気持ちいいよ、この曲。
 ステップ踏み出して、腕の振りもつけて。
 えへへ、やっぱアーマーの時はキレてるわ、みんな。
 歌っ。

♪just do it
 その一歩を踏み出せ
 キミならきっとできるから

 ステップ踏んで、踊りながらシャボン玉との距離を詰める。
 動き、キレてる。
 アザミとユリエも、その動きをハッと目で追う。
「踊りのうまい、五色の、五人組・・・」
「誰なの?」
 さ、誰なんでしょ。えへ。

♪退屈な昨日なんか
 置き去りにしてしまえ
 破り捨てろ 汚れた日記など

 ワンツースリーと踏みこんで、よっしゃ、いくよ。

♪just do it

 五人のキックが、巨大なシャボン玉の表皮に突き刺さる。
 すると、ぶよぶよぐにゃぐにゃしていたシャボン玉の表皮が、まるでガラス玉を割ったように砕け散っていった。
 粉々になった小さな破片が、ぱんっとふくれ上がって、きらきらと体育館いっぱいに広がって行く。
 赤に、黄色に、緑に、紫に、ピンクの破片が、きらきら、きらきらと体育館の中を舞っている。
「わぁ~~っ」
 遠巻きにしているGGC部員から、嘆声が漏れる。
 どうだ、キレイだろ。
 *
「素晴らしいシュバリアンだ。さすが叔父上」
 宇宙艇のカントも、モニターを見ながらつぶやく。
 *
 五色のきらきらの中で、ノリノリで踊るわたしたち。

♪just do it
 その一歩を踏み出せ
 キミならきっとできるから

「きれっきれ」
 ユリエがぽつり。
「あいつら、カッコいい」
 アザミもつぶやく。

♪恐れることなんかない
 明日はもうぼくたちのもの
 手に入れろ 光る1ページを

 ターン、ステップ、キック、でもって腕を上げて、伸ばして・・・。
「わっ」
「んぎゃっ」
「ふぎゃっ」
 この前といっしょ。ダンスの動きが、みぃ~んな相手への攻撃となってつぎつぎと決まる。
「ルゲーニ、ルゲーニ」
 ヂャアと変態銀髪男どもも大慌て。そこらへんにあったスクール・バッグやらラジカセやらクール・スプレーやら、手当たり次第に投げつけては逃げてゆく。
「どうする?」
 あたしの声にかぶさるように、コブシの声が響いた。
「確保してくれないか、って
「カクホ?」
「捕まえちゃえってことじゃない」
 スミレののんびりした声がはさまる。
「誰かを確認して、いくつか質問したいからって」
「ハカセか・・・」
「早く。追いかけてっ」
「はっ」
「姉ちゃん、どうかした?」
「なんでもない」
 地球を守るって、けっこややこしいわ。
「いい? 行くよっ」
 どどどどっ。追いかけるわたしたち。
 その背中を、ぽかんと見送るアザミとユリエ。
「なんなの、あいつら」
「誰なの。わけ分かんないし」
「でも、あのダンスのキレ・・・」
 ふっと真顔で顔を見合わせるGGC Wonderersのセンターとサブ・センターでありました。

[その4につづく]
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by planetebleue | 2016-07-19 16:11 | アイドル騎士団
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