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16年春リニューアルしました! 蒼辰が書くおハナシを随時アップしております。ちゃみのMCともども、読んでやって下さいまし。
by planetebleue
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<   2016年 02月 ( 5 )   > この月の画像一覧

おハナシ、upしましたぁ!

 まいどっ、ちゃみでっす。
 この挨拶もなんか懐かしいっすね。
 えっと、予告しておりました、おハナシをいよいよupさせていただきます。

 優柔不断な蒼辰は、まぁ〜だ「もっかい書き直したい」だの、「キャラの名前、やっぱイマイチかな」とか、ぐずぐずぐずぐず言っておりますが、も〜いいっ。
 これでupしちゃいなさいよ。
 皆さまに読んでいただいて、それからまた考えればいいじゃないのよ。
 はい。楽観的でポジティヴなちゃみでございます。

 あ、尚、今後も当ブログにて、継続的に[おハナシ]をupしてゆくことになっております。
 予定っつか、スケジュールをここで発表できればいっちゃんい〜んですけど、なんせオセオセの蒼辰でございます。
 予定はしてても、その通りには運ばないのでございます。
 なので、その都度、直前に予告させていただきます。
 なんとか、定期的にupしたいなぁ、とは思ってるんですけどね。

 はい。ブログの構造上、こちらをあとからupさせていただきました。

 てなわけで、読んでやってくださいっ!
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by planetebleue | 2016-02-29 17:59 | ちゃみのMC

天使のキホン・1

◇[かたゆでエンジェル]第1話
   「天使のキホン」

 0

「初めてなので、どきどきします」
「教習は受けたんだろ」
「はい、もちろん」
「じゃ、その通りやりゃいいのさ」
「け、けど、どこを狙えば」
「適当」
「テキトー?」
「そっ、適当に、ぎゅ~ん、ぱっ」
「適当に、ぎゅ~ん、ぱっ・・・あ、飛んでっちゃいました。どんなヒトに当たるんでしょうね」
「どうせそこいらへんのろくでもないヤツさ」
「けど、なんかわくわくします」

 1

「あたし、なんであの人を好きになっちゃったんだろう」
 恋って、そういうものよ。
 ちょと低音使ってみましたが、実のことを言えば、天使が適当にぎゅ~ん、ぱっ、しちゃった矢が、刺さっただけなのであります。
 そっ。冒頭の訳わからん会話は、二人組の天使が矢を放つ場面だったのでございます。
 おっと、失礼いたしました。
 初めまして。わたくし、このおハナシの[ぢの文]を務めることになりました、ちゃみともうします。
 よろしくお願いいたしますです。
 しかし、なぜ[じの文]ではなく[ぢの文]なのでありましょうか。
 作者より確たる説明はございませんでした。
 ま、ともかく、情景ですとかなんですとか、そうゆうとこを説明して、物語を進行させるのが、[ぢの文]の役割なんだそうでございます。
 それにしても、なんで[ぢ]?
 え? なに? そ~ゆ~とここだわらずに、はよ先進めろ、って?
 わぁ~りやしたよ。んじゃ、始めましょっか。
 冒頭、のっけのとこで、「初めてなので」と言っていたのが、ミキという名前の天使実習生でございます。
 ん?
 てんしじっしゅ~せい?
 天使に、実習生がいるんですか。
 じきわかるから、そこは飛ばせ、って?
 あ、そうっすか。
 でもって、もう一人の「適当」と答えていたのが、同じく天使実習生で先輩に当たるマキでございます。
 一方ミキは、教習を終えて、いよいよ初めて天使実習に参加した、初々しく、かつ性格も控え目な実習生です。
 けどさ、見た目、どうよ。黒っぽいコスチュームに、メイクもばっちし決めちゃって、かなりいっちゃってますよ。
 それに反してマキはというと、白のコスチュームに、メイクもあっさり。いかにも清純派な雰囲気をしております。
 黒の濃いメイクが初々しい新人で、白の清純派が場馴れた先輩。
 はは~ん。いわゆるミスマッチ感狙ったな。
 あたっ。
 余計なコト言わずに先に進めと怒らりました。
 しゃあない。んじゃ、この章冒頭の台詞んとこに戻りましょうか。
「あたし、なんであの人を好きになっちゃったんだろう」
 と言っている、矢が刺さっちゃった気の毒な女の子、誰なんです?
「お名前が、藤野澤沙保里さんという、女子高校生です」
 ミキが、タブレット端末の情報を、マキに教えてます。
 へ~え、天使実習生って、タブレット端末持ってて、そっからいろんな情報ゲットするんだ。
 便利、っつうか、けっこ適当な設定だな、きっと。
 はい、また怒らりるから、先進みます。
 でもって、ミキとマキは、雲の上からJK・藤野澤沙保里ちゃんを観察しているさなかでございます。
 いられんですよ、雲の上に。
 なんせ、天使ですから。
「まぁ~た字画の多い名前だな。総画数何画だよ」
「え~と、いち、にぃ・・・」
「んなもん数えなくったっていい。続き」
「はいっ」
 お、けっこ先輩後輩の上下関係きびしいっすね、天使実習生。
 で?
「はい。藤野澤沙保里さんは、偏差値真ん中らへんの公立高校の2年生で、成績は中の上。弓道部に所属していて、腕前は中の下だそうです」
「まぁ~た、思いっきり平凡な女子だな」
「そんなこと言ってはいけません」
「あ?」
「ヒトは誰もが、一度きりしかない、自分だけの人生を生きているのです」
「教習読本の3ページ」
「はい。ですから、平凡だなんて、ほかのヒトといっしょくたにするような言い方をしてはいけませぬ」
「思いっきり初々しいな、お前」
「いけませんか」
「いけなかないけど」
「そ~ゆ~マキさんはどうなのですか」
「そのうち分かるよ」
「は?」
「だから、そのうち分かるよ」
 この「そのうち分かる」とゆうのわ、マキの性格のことでもあり、また、多くのニンゲンが、自分が平凡だということに気づいていないジジツのことでもあるのです。
 きっと、そうです。
「あ、でも、新人の矢は、平凡なニンゲンに当たりやすいと、誰か言っていたようなぁ」
 ちょっとミキちゃん、かわいっぽく唇に指なんか当てちゃって。
 こいつだいじょぶかと思ったのわ、マキだけではないと思った[ぢの文]のちゃみでございました。
 でもって、初々しい方が黒の濃いメイクで、くぁっとなってるほうが、白の清純派ね。
「で、相手は?」
「あ、沙保里さんが自らお話しなさっているようです」
 と、ミキとマキが、地上の出来事に耳を澄ましているようですので、場面も、下界へと転換いたします。

 2

「ほら、駅の反対側に、新しくできたコンビニあるじゃん」
 と、一緒に歩くお友だちに話しているのが、藤野澤沙保里という平凡なわりに字画の多いJKです。
「あ~、知ってる知ってる」
 答えているのは、丸顔で、いわゆるぽっちゃりタイプの、これまた全国高校のどこにも数人はいるであろう、ごく目立たないJKであります。
 けどね、名前だけは、佐藤雲母。雲母と書いて[きらら]と読む、DQ系ネームの持ち主なんでございます。
 いちお~沙保里の親友ということになっておりますが、どっちがどっちを親友と思っているかについては、ちゃみ、存じません。
 時は下校時。校門をいっしょに出て、みんなが使う近道ではなく、わざわざ川沿いの遠回りの道歩きながら、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃのさなかでございます。
「レンタルショップ行く途中の」
「そうそうそうそう。あそこでぇ、アルバイトしてるヒト」
「マジメそうで、爽やかなんだ」
 そこまで聞いて、雲の上のマキが、はんっ。
「コンビニ入ったばっかのアルバイトなんて、だいたいマジメそうで爽やかに見えるんだよ」
 って、口悪いな。
 けど、ま、そうなんですけどね。
 内心、ちゃんとできるかどきどきしながら、必死こいてるとこが、マジメで爽やかに見えるのであります。
「顔がぁ、相葉くんに似ててぇ」
 こら、雲の上のマキ、ぎゃはは笑うんじゃないっ。
「そいでぇ・・・」
 と、沙保里ちゃんが先を続けようとしたその時、
「告っちゃえばいいじゃん」
 雲母と書いてきららちゃんが、無責任にも言うのであります。
「え~っ、でもぉ」
「断られたって、そん時はそん時だよ」
 ヒトゴトだと思って。
「けどぉ」
「だってさ、少なくとも顔覚えてもらえるよ」
 そらそうだけど。
「う~ん」
 と、沙保里ちゃんのため息聞いて、雲の上のマキまで、はぁ~っ。
「こっからが長いんだ」
「そうなんですか」
「うじうじ、ぐずぐず、あ~でもない、こ~でもない、ってさ」
「い~じゃないですか。そんな気持ち、味わってみたいです」
 胸の前で、両手をきゅっ。
 そんなミキに、マキは、くぁっ。
「だって、恋してるんですよ。どんな気持ちなんでしょう。あたしまだ、そんな経験ないから」
「うちら、天使実習生だぜ」
「天使が恋しちゃいけないんですか」
「いけなかないんだけどさぁ・・・」
 あれ? マキの目が、なんか遠くなっちゃってます。
 とか言ってる、そのさなか。
「決めたっ」
 と、沙保里ちゃん。
「あたし、告白する」
 って、マジっすか、いきなりっすか。
「マキさん、意外と展開早そうですよ」
「あ、うん」
 雲の上からミキとマキもご注目。
「でもぉ、どうすればい~かなぁ」
「あたし、協力するよ」
 雲母と書いてきららちゃん、にわかに張り切っちゃいました。
「あたしが、そのコンビニにお客で行って、上がりの時間、聞き出すから。そしたら沙保里、帰り道で待ってればいいじゃん」
「けど・・・」
「だいじょぶ、任しときなよ」
 雲母と書いてきららちゃん、胸なんか叩いちゃって。
「行こ」
「あ、うん」
 と、コンビニに向かう雲母と書いてきららちゃんと字画の多い沙保里ちゃん。
「どうなるんでしょ、どうなるんでしょ」
 雲の上ではミキが興奮しちゃってます。
「見てるっきゃないさ」
 こちら、雲の上にごろんと寝そべったマキ。
「なんかどきどきします。ガンバレッ、沙保里さん」
 胸の前で両手をあわせて、きゅんっとなってるミキ。
 あ、きゅんとなってるミキのほうが、黒に濃いメイク。
 んで、寝そべって、あかんべしてるほうのマキが、白の清純派でございます。
 お間違いのなきよう。

 3

 ほいでもって、雲母と書いてきららちゃん、なかなかうまくやりました。
 飲み物とサンドイッチを手に、その新入りアルバイトがいるレジへ。
「サンドイッチが一点、ドリンクが一点」
 バーコード読むの終わったところで、
「コンビニのバイトって大変ですかぁ」
 興味があるフリして話しかけます。
「ぼく、新入りなんで、いろいろ」
「あ~、馴れるまではねぇ」
 調子いいな、雲母と書いてきらら。
「何時間くらい働くんですかぁ」
「シフトはいろいろあるけど・・・」
「今日は?」
「1時から、7時まで」
「ふぅ~ん、6時間かぁ」
「休憩入れてだけど。よかったら、店長に紹介しようか」
「あ、それよか、チャリ通は可能ですか?」
 てな調子で、上がりの時間やらなにやら、ちゃっかり聞き出しちゃった。
 やるじゃん。営業むきかもね、雲母と書いてきらら。
 ってか、ヒトゴトなんだよね、しょせん。これが、自分のことだったら、いっひっひ。
 しかし、沙保里ちゃんにとっては良き友人であることは間違いありませぬ。
 お外のめえないとこで待ってた沙保里ちゃん、報告聞いて、ほっぺがぽっ。
「どうしよどうしよ」
 そんな沙保里に、雲母と書いてきららちゃんが作戦を授けます。
 カレシは、川向こうの大学に通ってて、寮暮らしである。へ~え、そんなことまで聞き出しちゃったんだ。
 で?
 寮は、川の反対側だから、橋の向こうのたもとで待機せよ。なぜならば向こう側のが、橋を渡ってくるのを発見しやすいからである。
 ほうほう。そいで?
 カレシが近づいたら、落とし物を探すフリをせよ。そんな沙保里に声をかけてくるようなら、親切な、すなわち優しいオトコに違いない、と。
 なるほど。
「ってかさ」
 と、こちら雲上のマキ。
「もてない女子ほど、妄想力が発達してんのさ」
「いけません、そんな」
 メッとマキを睨むミキ。
「お友だちのことを心から応援してるんじゃないですか。美しい友情です。ガンバレッ、沙保里さん」
 またもや、胸の前で両手をきゅんっ。
 黒のコスチュームに、濃いめメイクのほうが、です。

 でもって、すっかり日も暮れた午後7時22分。
 橋の向こうで待つこと10分あまり。沙保里ちゃんの目に、自転車でやってくるカレシの姿が見えてきたのであります。
 ワガクニは道路照明が豊かで良かった。
 すかさず、ガードレールの向こう側の、ホントになくならないように、わりと明るいところにスマホをぽん。自分はかがんで、関係ないあたりをうろうろ、落とし物探しのポーズ。
 いよいよ自転車が近づくと、「あ~ん、どこいっちゃのかなぁ」と独り言。
 ようやるわ、沙保里ちゃんも。
 すると、キキ~ッと自転車が止まって、
「どうかしたんですか?」
 と来た。
 あっは~ん、やったね。
 沙保里ちゃんがほっとしたのはゆうまでもありませぬ。
 ここ、「どうかしたんですか?」がよかったね。これが、「どうしたの?」と来られると、女子は、気易いヤツめ、と思ってしまうわけでございます。
 覚えといてね。
 でもって、ほっとした沙保里ちゃん。
「ケータイ、落としちゃって」
 可愛い方の角度で顔を上げて、可愛い方の声で答えます。
 すると、
「探そうか」
 自転車下りて、スタンド立てて、
「どのへん?」
 ちょい腰かがめて、いっしょに探しましょポーズ。
 い~感じじゃありませぬか。きらら説に従えば、こりゃじゅ~ぶんに親切で優しいぞ、この男子。
「多分、この辺だと思うんですけどぉ」
 と、落とした・・じゃなくって、置いた場所に近づく沙保里ちゃん。だって、ねえ、もうきっかけは出来たんだ。巻きでいきましょ、巻きで。
「あ、ありましたぁ」
 自分でそこに置いたスマホを拾い上げます。
「よかった」
 と、いっしょんなってほっとしてくれるカレシと、目と目が合っちゃったりします。
「向こうのコンビニで働いてるヒトですよね」
「あ、うん、そうだけど」
「気に、なってたりして」
「え、ぼくのこと?」
 こくんと頷く沙保里ちゃん。
「急いでるんですか?」
「いや、別に」
「だったら、あの、よかったら、お茶、とか・・・」
 って、なに型どおりの会話やってんだ、こいつら。[ぢの文]やってるこっちが照れるぜ、ったく。
 あ、失礼しました。
 ほいでもって、
「い、いいけど」
 って答えたカレシの声が、びみょ~に裏返ってやがんの。純情だな、こいつ。
「うれしいっ」
 沙保里ちゃんが、真っ赤な顔して、うれしそうに笑ったのはいうまでもありません。
 っつうか、こんなんでい~わけ?
 天使の矢ってこ~ゆ~ことなのか。どうなの、見習い天使っ。
「よかったです」
 と、またまた胸きゅんポーズのミキ。
「沙保里さんは、今きっと、シアワセですよね」
「舞い上がってんだろ」
「沙保里さんがシアワセってことは、わたしの成績が上がるってことですよね」
「まぁな」
 ん? ミキの成績が上がる?
 ってことは、なにか、矢を放って、当たったおかげで恋したヤツが、その恋を成就して、シアワセってヤツになると、見習い天使の成績が上がるのか。
 ざっくりいうと、そういうこと。
 ほう、そうなんだ。
「けど、この程度じゃ大してポイント稼げないぜ」
「そうなんですか」
 おやミキ、ちゃみのかわりにありがとう。
 ふうん、そうなんだ。
「ともかく、お祝いすっか」
 ひらりと雲から地上に降りるマキ。
「は? お祝い?」
 首傾げながら、ミキもあとを追いかけましたとさ。

[2につづく]
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by planetebleue | 2016-02-29 17:58 | かたゆでエンジェル

天使のキホン・2

 4

 びゅ~っと、お茶しに向かう沙保里とカレシの自転車が通過したあとのコンビニの前。
 女子高生風の短めプリーツ・スカートに、白ブラウス・紺ジャケ・胸にレンガ色のリボンというスタイルのマキとミキがやってまいります。
 はい、地上では怪しまれぬよう、このかっこなのです。
 でもって、天上っつうか、雲の上では、マキは白、ミキは黒の、ロリコン風のドレスに、背中には天使の白い羽根を生やしております。
 そっ。地上紺ジャケの下には、羽根が隠れているのです。
「名前は、高橋健二といいます」
 タブレット見ながら、ミキがマキに、沙保里とお茶しにいった男子の情報を伝えております。
「川の向こうの、山手産業大学の二年生で、年齢は19才」
 ちなみに、山手産業大学は、創立してまだ十年ちょっと・・ってことは、偏差値さほど高くない大学、ってことになりましょうか。
「工学部に通っていて、将来はロボット技術者になるのが夢なんですって」
「カノジョ歴は?」
「ん~と・・あ、沙保里さんが、初カノジョのようです」
 ふっと、ミキのほうに振り向くマキ。
「これまた、平凡だこと」
「そんなこと言ってはいけませんよ。ロボット技術者が夢で、初カノジョ。きっと、マジメな男子なんですよ。結構なことです」
「モノは見方」
 と、自動ドア抜けて、コンビニ店内に入ってくマキ。
「へ? マキさん」
 やや慌てたようすで、ミキもあとを追います。
 でもって、その数分後。
「校則違反ではありませんか」
 アイスクリーム2個持って出てきたマキの後ろで、ミキが慌てまくっております。
「かまうこたねぇよ、だぁ~れも見てないんだし」
「で、でも」
「ほい」
「あ」
 差し出されたアイスを、思わず受け取っちゃったミキ。
 マキのほうは、早くも皮むいてぱくり。
「い~んでしょうか」
「あ?」
「だって、だって校則違反ですよ」
「みんなやってるよ」
「え?」
「実習中は、みぃ~んなやってるよ」
「そうなんですか」
「じゃなきゃやってらんねぇだろが」
 平然とぱくぱくぱく。
「それはそうかもしれませんが・・・」
「溶けるよ」
「あ」
 と、一瞬ためらうんだけど、仕方なさそうにていねいに皮むき始めた。
「でも、ホントにい~んでしょうか」
 まだ言うか。そこまでいったら、ねぇ。
「お祝いっ」
 マキがアイスを乾杯のように差し上げたのに、
「あ、はいっ」
 と、応じちゃったら、もうしょうがない。ちびちび食べ始めると、
「おいちい」
 だって。
 って、い~んだけどさ、見習いとはいえ天使がアイス食ってうまいわけ?
 え? ふつう?
 地上にいて、女子高生スタイルでジンルイのフリしてるときは、五感もジンルイといっしょなんだ。
 ほ~お。
 なんかさぁ、い~かげんじゃね? 設定が。
 校則、ってのは、まぁ、実習生って設定なんだから、そんなこともあるのかなぁと思うケドさ。
 え? なに? ごちゃごちゃ言ってないで、さっさとハナシを先に進めろ、って?
 分かりましたよ。
[ぢの文]窮屈だな、けっこ。
 ほんじゃ、新人ミキが、なにやら悩ましい顔で、先輩マキに声をかけるところからでございます。
 もちろん、アイス食いながら。
「あの、マキさん」
「ん?」
「ヒトのシアワセって、なんなのでしょうか」
「あたしに聞くなよ」
「でも、でも、天使のお仕事は、ヒトをシアワセにすることですよね」
「まぁな」
「ヒトをシアワセにすることで、あたしたちの成績は上がるんですよね」
「キホン、そうだ」
「でもあたし、ヒトのシアワセってなにか、まだよく分からないんです」
「んなもん、当人がシアワセだと思えば、それがシアワセなんだよ」
「それでい~んでしょうか」
「見習い天使が関わるのはそこまで。じゃないと、せっかくゲットしたポイントがややこしいことになりかねないだろ」
「ややこしい、って?」
「たとえば・・・」
 あ、マキ、ちょと言葉に詰まった。
「たとえばシアワセに馴れすぎて、もっとなにかを求めたら、どうなる?」
「そんなの、ジンルイのワガママです」
「だろ? それに責任とれないだろ?」
「まぁ、実習生ですから」
 ミキ、ちょと不満そうに答えてます。
「だからさ、当人がシアワセって感じたところでさっと手を引く。そうやって成績上げて、早いとこ任官天使になったほうがお利口さんだよ」
 あ、任官天使とゆうのわ、成績を満たした実習生が、晴れて出世するホンモンの天使のことでございます。
 はい、[ぢの文]のお仕事。
 でもってミキは、まだなんだか不満そう。
「マキさんは?」
「え?」
「マキさんは、かなりベテランの実習生だとか」
「あたしのことなんか、どうだってい~だろ」
「でも・・・」
「でもじゃねぇ」
 あ、ミキったら、地雷踏んだ。
「ヒトのシアワセはなにか、それを学ぶのも実習の目的だって言われただろ」
「はぁ」
「じゃ、見てな」
 言ったマキが、どこからか白くてちっちゃい投げ矢を取りだし、ぴゅっと投げました。
 ぴゅっと飛んでったちっちゃい矢が、通りかかった女子高生の背中にぴしゅっ。
 女子高生、途端に、石にけっつまずいておっとっと。
 んがっと前のめりに転んだ女子高生の目の前の地面に、ぬわんと五百円玉が。
 拾い上げ、立ち上がった女子高生、五百円玉見て、にかっと笑って一言。
「ツイてるかも」
 五百円玉ポケットに入れて、うきうきと去っていったとさ。
「こんなもんさ」
 先輩らしく、分かってる感まんまんの目で、マキがミキを見ています。
 するとミキ、
「マキさん、今のも、校則違反」
 あや?

 5

 運がいいとか悪いとか、天使がおイタをしていると思えば納得できるというものであります。
 さて、そんなことを言ってる間に、あっちゅまあっちゅまに二ヶ月が過ぎ、季節も移ったのでございます。
 で、寒くなったの? 暖かくなったの?
 え? 季節、設定してなかった・・って、お~~い。
 しょうがねぇな、もう。
 じゃ、ここで決めよ。
 え? おハナシがこっから別れ話がらみになるから、秋がいいんじゃないか、って?
 おいおい。そんなことここで言っちゃってい~のかよ。
 まぁね、夏始まりの恋って、多いからね。
 けどさ、あの出会い、夏って感じじゃねぇよな。
 こっからストーリーが熱くなるぜ、ってとっから言えば、夏前がいいんじゃね?
 決めた。そっちでいこ。
 5月のGW明けに出会い、2ヶ月後の7月。もうすぐ夏休み。初めてのカレシとどこ行こう、なにしよう、の真っ最中に、危機がやってくるのでございますよ。
 よし、それでいこう・・って、ちゃみ、作者かよ。
 けどさ、い~んじゃね? 5月から7月。長袖が半袖になり、やがて女子の私服はノースリーブですよ。
 襟ぐりフェチにはたまらない季節でございます。
 おりゃ、どこ見とんじゃ~・・なんつって。ぎゃはっはっは。
 あ、失礼いたしました。
 一人でコーふんしてしまいました。
 はい、長袖で出会い、半袖となった、その後の沙保里ちゃんと健二くんでございます。
 え~、JKと大学生のカップルというと、なにやらいやらしい感じがいたしますが・・え? そう思うの、ちゃみだけ?・・こらまった失礼いたしました。
 ともかく、この二人はいたって清潔なのでございます。
 ね、トイレのあとも、石けんまで使って手を洗って、って、そ~ゆ~ことじゃないっ。
 分かってますよ。
 マジメなんです、マジメ。
 面白くないことに。
 あの夜、ショッピング・モールのイートインでお茶した二人は、ケータイ番号ですとか、メルアドですとか交換し、「じゃ、これからときどき会おうね」みたいなことになるわけでございます。
 ま、恋の試運転ってヤツ?
 やがて、カレシ・カノジョという認識が生まれつつ~の、ほぼ週イチでデートを繰り返しておりました。
 つうても、娯楽の少ない町でございまして。
 トウキョウなんて、大旅行の目的地でございます。県庁所在地までも、鉄道で小一時間ばかしかかります。
 なわけで、地元デート。
 ショッピング・モールで待ち合わせて、ウィンドウ・ショッピングして、イートインでランチして、アイスティーのストローなめながらだらだら過ごして、あとは例の川沿いの道をぶらぶらとおしゃべりしながら歩いたりするわけでございます。
 んまっ、昭和なカップル。
 あり得ねぇ。
 けど、季節感はまったんじゃね?
 夏に向かって、二人の仲はいよいよ深まっていこうかという、そんな時期でございます。
 そんな二人の危機が伝わったのは、マキとミキが、
「このクニのツユってしょっぱい」
「そうですか? わたしはちょうどいいですよ」
「そのツユじゃなくって、雨の季節のツユ」
 と、コンビニの前で気の早いそうめんを食べているときのことでございました。
 あ、ミキ、校則違反の心のハードル、越えたのね。
 そのミキの、膝の上のタブレットに情報が流れてきたのでございます。
「あの、沙保里さんが、カレシのことでなにか愚痴ってるみたいなんですけど」
「あ~ん?」
 しょうがない。なにが起こったのか、雲の上から観察に出かけることとなりました。
「あの案件、継続になってたのか」
「はい。なにしろわたしの初めての矢ですから。二人の仲が深まるのをじっと見守ろうと思っておりました」
「見切りどきってこともあるんだぜ」
「は?」
 ぱたぱたぱた。天使の翼で飛んでっちゃいました。
 解説しておきますと、矢が当たって、恋に落ちちゃったジンルイがですね、その相手との愛が深まるほど、天使実習生のポイントとなります。
 成績が上がってくわけね。
 恋をし、付き合いはじめ、愛が深まり、やがて結婚し、なおかつ幸せな一生なんか送ったりすると、そりゃもう実習生の成績はぐんと上がるのでございます。
 で、ここで分かること。
 その一。そんなうまいハナシはめったにない。
 その二。そんだけ、天使実習生が成績を上げるには時間がかかる。
 ということでございますね。
 天使実習生が、十分な成績を上げて任官天使となるには、百年単位の時間が必要なのであります。
 でもって、適当に矢を放って、恋に落ちたジンルイのその後を見守るしかない天使実習生としては、いい加減なとこで見切ることも必要なのでございます。
 い~感じで恋に落ちて、同棲でも始めたところで、打ち切り案件にしちゃう。
 と、その時点でのシアワセ感が、実習生の成績となるのであります。
 意外と厳しいもんなんですね、天使実習生。
 けど、矢を放ったら、ただ見守ってるしかないの?
 それについては、またあとで。
 あ、そうっすか。
 あともいっこ。前シーンからの二ヶ月間、あっちゅまといいつつ、マキとミキはなにしてたのか?
 これ簡単。
 案件はいっつも複数動いとるわけですよ。
 矢を放つ。恋に落ちる。その後の経過を観察する。
 これが複数同時に動いとりますので、けっこ忙しいと、こういうわけでございます。
 とはいうものの、天使の時間は、ジンルイのそれより、はるかにゆっくりと流れているんですけどね。
 さて、ぱたぱたぱたと天使の羽根で飛んで行くマキとミキが雲の上から見下ろすと・・あ~、いましたいました。
 告るの告らないのとやっていた、あの川沿いの道で、この日も、親友ということになっている雲母と書いてきららちゃん相手に、沙保里ちゃん、なにやら愚痴りながら歩いているようでございます。
 聞いてみましょ。
「ひぇ~っ、信じられない」
 と、これ、きららちゃんの台詞ね。
「最初は優しかったんだけどぉ、なんかぁ、急にワガママになっちゃってぇ」
「振り回されてるの?」
 こくんと頷く沙保里ちゃん。
「今日も、ウィークデイはヤダって言ったのにぃ、俺のために時間が取れないのか、とか言っちゃってぇ、無理やり約束させられちゃった」
 と、ふぅ~っとため息。
 こりゃまた、どうしたことなんでしょ。
「どういたしましょ」
 こちら、雲の上のミキがマキに尋ねます。
「なにか、ささやきます?」
「一回こっきりだよ、ささやきは」
「そうですよね」
「まちっとようす見よ」
 てなわけで、場面は、ウィークデイなのに約束させられちゃった沙保里ちゃんと健二くんの場面に転換いたします。

 6

 ところは、いつものショッピング・モールのイートインでございます。
 一階正面とは反対側の、駐車場連絡通路に近いとこに、わりと広い空間が広がっております。
 壁際には、うどん屋さんだとかラーメン屋さんだとか、ソフトクリーム屋さんだとかハンバーガー屋さんだとかが並んでおります。
 でもって、フロアにはカラフルなプラの椅子とテーブルがい~っぱい並んでる、そんなとこね。
 で、沙保里と健二は、ん~と、どこにいるのかな?
 あ、いましたいました。ドリンク・コーナーのカウンターの前で、なにやらもめております。
「タピオカミルクティー、苦手なんだってば」
 困った顔の沙保里ちゃんに対して、健二くん、上から目線です。
「新製品なのに、なんで分かるんだよ」
「ふつうのアイスティーにさせてよ」
「なんで俺の言うこと聞けないんだよ」
「じゃ自分で飲めばいいでしょ」
「女子が試すべきだろ」
「そんな・・・」
 と、言ったときには健二もう、カウンターの向こうで困っている制服のお姉さんに、
「タピオカミルクティーひとつとアイスコーヒー」
 さっさか注文しちゃった。
 受けたお姉さんも、事情が分かってるから、スマイル薄め。
「それでよろしいでしょうか」
「それでいいです」
「かしこまりました」
 お姉さんがくるりと背を向けて、ドリンクの準備に取りかかると、沙保里ちゃん、ふぅ~っとため息。
 そりゃため息だわ。
「けしからんです」
 こちら、雲の上からようすを見ていたミキが怒ってます。
「あんな横暴は許すべきではありません」
 けど、雲の上からイートインが見えるのか、って? 見えるんですよ。なんせ天使ですから。テンシ。
「けどさ」
 と、こちらのんびり構えているマキ。
「このまんまあの子らが別れちゃうと、成績上がんないよ」
「そうですよね。二人がより愛し合い、シアワセを感じてくれることが、成績アップになるんですものね」
「それどころか、告り成功のポイントも消されるぞ」
「げっ、それまずいです」
 途端に、不安そうな顔になるミキ。
 だから、つきあい始めたとこで打ち切りにしときゃよかったのにと、心の中で思うマキであります。
 けど、口には出しません。
 そこは、新人に対する先輩の配慮というものであります。ハイリョ。
「どうしましょう。どうしたらいいんでしょう」
 いよいよおろおろのマキ。初々しいですね、黒コスに濃いめメイクで。
「ここで、ささやきでしょ」
「は、そうでした」
 天使の囁きでございます。
 天使実習生の規則によりますと、矢が当たった対象に対して、一階だけ、ささやけることになっております。
 それは心の声となって、対象者の背中を押します。それによって、よりシアワセにしてあげようというわけ。
「けど、なんてささやきます?」
「自分で考えろよ」
「わたしの気持ちとしては、そんなワガママ男とは、さっさと別れてしまえ、なんですけど」
「そいじゃ小悪魔だろ」
 言ったマキ、ん? と、なにかに気づいたようすでございます。
「なんか匂ってきたぞ」
「あ~、下でラーメン3個運んでるヒトがいます」
 と、ミキ、お鼻ひくひく。
「ここ、お外でも食べられるんですね。い~匂いだし、気持ちよさそ~」
 けど、マキはまったくスルー。
「そこいらに黒い雲いないか?」
「黒雲? 猫が顔洗いました?」
「どこに猫がいるんだよ。もういい」
 と、あたりをぐる~っと見回すマキ。
「ほぉ~ら」
 なにがいたんだか、マキの体重移動で乗ってた雲がしゅ~っと斜めってます。
「きゃっ」なんて、ミキがバランス崩しかけ、体勢立て直してはっと見たときには、雲がきゅい~んとなにかに向かって旋回中であります。
 ん? なんっすか? これ。
 目指す彼方には、ほぼ煙といっていいようなちっちゃこい黒雲が浮かんでいるではありませぬか。
 体重移動で巧みに雲を操るマキ、その黒雲に背後から急接近いたします。
「なにやったぁ、てめぇ~っ」
 おや、マキさん、いきなり怒鳴りつけるだなんて。で、誰に向かって?
「わあっ」
 あら、黒い雲から落っこちそうになってるのがいる。
「いきなり脅かすなよ。落ちたらどうすんだ、ったく」
 体勢立て直し、上げた顔を見れば、ありゃま、ちょ~かわゆい顔立ちではありませぬか。
 でもって、薄いピンクに、真っ赤っかを差し色にしたゴスロリ風のドレスに、おや、背中には黒い羽根。
「どなたなんです?」
 ミキの質問にマキが答えます。
「悪魔実習生のカオリンってケチなヤツさ」
 あくまじっしゅう~せい~っ?
 そんなんもいるのか。
「ケチじゃないわい。こないだだって160円のかにパンに、塩パン60円くっつけて、どぉ~んと買ったさ」
「ポイント欲しさ」
「うん、3倍デーだったから」
「せこっ」
 マキの勝ち。そいで?
「なんてささやいたの」
「愛を、試せ」
「まぁ~た古典的なことを」
「ど~ゆ~意味なんですか」
「だから、相手の気持ちがどれだけホンキか、ワガママ言って試せって、そういうこったろ」
「よくお分かりで」
「んまっ、ヒトをフシアワセにするなんて、ひどいヒトです」
「ヒトじゃね~し、それが小悪魔の仕事なんだもん」
「あ、そうか」
 はい、そうなんです。
 悪魔実習生のお仕事は、天使実習生の矢で恋に落ちたジンルイを、ささやきによって邪魔するのであります。
 でもって、そのお邪魔達成度によって、成績が上がり、任官悪魔になれると、まぁそういう存在なのでございます。
 ちなみに悪魔実習生は、通称小悪魔と呼ばれております。
 そう、コアクマ。
 ほら、運がいいとか悪いとか、小悪魔がおイタをしていると思えば、納得できるというものではありませぬか。
「ったく、余計なとこに出てきやがって」
「とんでもないヒトです」
「ヒトじゃなくって、小悪魔だってば」
「こうなったら、ささやきで挽回するっきゃないよ」
「でも、なんて?」
「離れよ」
 マキ、白い雲を体重移動で操り、カオリンの黒い雲から遠ざかります。
 そらそうだわな。なんてささやくか、その相談をカオリンに聞かせるわけにはまいいりませぬ。
 するとその背中に、
「馬には乗ってみよ、人には沿うてみよ」
 カオリンがお古いことわざを投げつけます。
「は?」
 ミキたん、思わず振り向いちゃった。
「馬には乗ってみよ、人には沿うてみよ」
 繰り返すカオリン。
「どういう意味でしょう」
 ミキたん、かわゆい顔でマキを見上げます。
「馬には乗ってみなくちゃ分からない。人にも、寄り添ってみなくちゃ分からないってことさ」
「は?」
「だからぁ、カレシのワガママも、寄り添うつもりで受け入れちゃえば、案外シアワセかもよと、そんなとこだろ」
「はっは~ぁ、それいいですね」
「小悪魔のアイディアにのってどうすんだよ」
「だって、沙保里さんがワガママ健二と別れでもしたら、元も子もないじゃありませんか」
「ワガママ男なんか許せません、とか言ってたくせに」
「それとこれとは別です。わたしは天使実習生。成績優先です」
「くぁっ。んじゃ、やってみ」
「はいっ」
 すっかり呆れたマキを見て、カオリンがにんまりしていたことはゆうまでもありませぬ。

[3に続く]
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by planetebleue | 2016-02-29 17:56 | かたゆでエンジェル

天使のキホン・3

 7

 さて、おハナシはショッピングモールのイートインに戻ります。
 窓ぎわの明るい席を選ぼうとする健二くんに、「こっちにしよ」とそこだけはワガママとおして、壁際の、まわりにあんまし人のいない席に、向き合って座った二人。
 当然のことながら、タピオカミルクティーには手も付けず、両手を膝において俯いている沙保里ちゃん。
 こら覚悟決めたな。別れるつもりですよ。
「あ、あたし、もう・・・」
 ほうら、やっぱり。
 しかし、健二くんもそこは敏感に感じとって、
「俺のこと好きなんだろ」
 ですと。
 小悪魔のささやきが効いてるから、図々しいこと。
 さぁそこに、天使実習生ミキの登場でございます。
「馬には乗ってみよ、人には沿うてみよ」
 ささやきを発信いたします。
 ただし、ささやく相手は、タブレットでございます。ミキのささやきを入力されたタブレットが、天使専用アプリによって、相手の心にコトバを、ぽとりと落とすのであります。
 念力とかテレパシーとか言っちゃってもいいんじゃね? そこがこだわりなんだ、作者の。
 めんどくせ。
 ま、ともかく、沙保里ちゃんが、不審そうな表情で顔を上げ、健二くんを見ております。
 ほら、コトバ、届いたみたい。
「な」
「でも・・・」
 あちゃ、ヤバイよヤバイよ。
 ほれ、もう一押し。
「馬には乗ってみよ、人には沿うてみよですよっ」
 ん? と顔を上げる沙保里ちゃん、くっと首を傾げてます。
 ありゃりゃ、ささやきの意味、理解できてないのかも。
 しかし、天使実習生の規則によりますと、ささやきを解説することは禁止なのでございます。
 じゃないと、有効なささやきを身につけることができないからなのだとか。
 って、そこの読者。ここ突っこまない。スルースルー。
 なのでミキたんに出来ることはただひとつ、「馬には乗ってみよ、人には沿うてみよ」、同じコトバを必死に繰り返します。
 小悪魔に教えてもらったコトバなんですけどね。
 そんなようすを、マキとカオリンが眺めております。
「このまんま別れりゃ、久々の成績アップだぜい」
 って、カオリン、そんなに成績悪いの? それともサボり癖か。
「でもってそっちは成績ダウン」
「さっすがカオリンさまぁ」
「そっかな」
 って、マジ照れてやんの。
「あんたって、小悪魔むいてないかも」
「お前にいわれたくない」
 と、なにやら以前から知り合いらしいマキとカオリンであります。
 その前方では必死にささやきを繰り返すミキたん。
「馬には乗ってみろ、人には沿うてみよだっつうてるだろ。意味分からんのか。お前の偏差値じゃムリかっ」
 って、おいおい。
「あの子、やりすぎじゃね?」
「まぁ見てみようよ」
「お~や、ベテランの余裕?」
「なるようにしかならないもんさ」
「それが天使の台詞かよ。お前やっぱ、天使にむいてないかも」
「あんたに言われたくない」
 ふと、横目線かわすマキとカオリンであります。
 しかしその時、イートインでは緊張マックス。
「好きなら、俺のワガママくらい聞いてくれたっていいだろ」
「いやなの、もう・・わ・・わ・・」
 その[わ]は[たし]につづく[わ]じゃなくって、[か]がきて、つぎに[れたい]っとくる[わ]だぞ。
 どうするミキたんっ。
「こうなったらシュプレヒコールです」
 どっかからちっこいラウドスピーカー持ち出して・・あ、ちなみに色、赤です・・シュプレヒコール始めちゃった。
「馬には乗ってみ~ろ、人には沿うてみ~よ」
 これ、あとで説明すっけど、いくら頑張っても沙保里ちゃんには届かない代物なんだよね。
「やっぱり、健二くんとは、もう・・・」
 ほうら、なんか諦めきった表情で、別れ、切り出そうとしているぞ。
「ぎゃ~っ、どうしましょ」
 ミキたんったら、もう半狂乱。
 と、その時のことでございます。どこからかちっちゃこい矢がぴゅ~んと飛んできて、健二くんのお背なにプツン。
 その途端、ハッと顔を上げる健二くん。
「違うんだ。ぼくが悪かったんだ」
「え?」
「きみの気持ちを、試そうとしてたんだ。なんで、そんな気持ちになったんだろう」
 ありゃ、覚醒しちゃってます。
 雲の上のマキとカオリンも、ありゃ?
 するとその視野の隅っこをしゅ~っと動くものが。ん? と見れば、そこにはウィンクして飛び去る任官天使・・つまり、ま、簡単にいやオトナの天使ね・・の姿が。
 はは~ん、あの任官天使のおイタで、健二くん、覚醒しちゃったのか。
「さぁ~っすがヒトミさま」
 小さく拍手のマキたん。
 あの任官天使、ヒトミって名前なのか。
 でもってこっちは、
「くぅ~、まぁ~た成績下がっちゃう」
 がっくしのカオリン。
 もちろんミキたん大喜び。
「よかったです。ほんとうによかったです」
 満面笑みになったところで、ぴ~ろぴ~ろぴろぴろぴ~っと鳴る着メロは、ど~ゆ~わけかMCZ。
「メイルだ」
 ミキたん、タブレットをシュッシュッ。
「あ、担任の先生から報告の呼び出しです」
「ん、行ってきな」
「得点稼いだところだから、ラッキーですよね。うふふふ」
 ミキ、スクールバッグ斜めがけにして、背中の羽根をぱたぱたぱた。お空に舞い上がります。
「行ってきまぁ~す」
「行ってらっしゃ~い」
 と、見送るマキ。
「報告の呼び出し?」
「ああ、あの子、初期研修なのよ」
「お~や、新人」
「でもって、あたしがお世話係」
「そ~ら運のいいことで」
 くぁっくぁっくぁっと笑うカオリン、マキの顔を見て、なにかに気づいたようでございます。
「ちょっと、あんた、なにイタズラっぽい顔してんのよ」
「べぇ~つにぃ~」
 と言いながら、口元にやり、目元いたずらっぽくきらりんのマキたんなのであります。

 8

 さて、こちら雲の上のカミサマ学園でございます。
 雲の上ならふわふわのとこにあんのかとゆうと、これが違うんですね。
 ぬあんと、緑豊かな学園なのでございます。
 手入れの行き届いた庭園に囲まれて、瀟洒な校舎が点々と並んでおります。
 まるで、絵に描いたような美しい学園。
 い~かげんな描写です。
 絵に描いたようなって、どんな絵を描いたらい~のか、これじゃ分からないじゃん。
 え? なにしろカミサマ学園だから、リアルにいくより、想像に頼ったほうがいい、って?
 は、そうっすか。
 そ~ゆ~わけなので、みなさま、想像に頼ってください。
 ちなみに、ここカミサマ学園は、天使だけでなく、男子の神さまも養成している学園でございます。
 中にはイケメンのカミサマ実習生男子がいて、マキやミキともからむかも、って?
 そぉ~んな大風呂敷広げちゃっていいの?
 ちゃみはどうなっても知りません。
 さて、その絵に描いたような美しい学園に、お羽根ぱたぱたと舞い降りたミキたんが、とある瀟洒な校舎に向かって走ってゆく後ろ姿は、萌え系JKそのものなのであります。
 ってかさ、この描写も・・ま、いっか。ちゃみの知ったこっちゃねぇや。
 てなわけで、校舎の廊下をとっとっと。教官室のドアをとんとんとん。
「ミキです」
「早かったわね、どうぞ」
「はい」
 ドアを開けて、礼儀正しく一礼。ドアを閉めてから、デスクの教官の前に進みます。
「どお? 地上は」
 と、顔を上げてミキを見た教官、お~や、きゃりーぱみゅぱみゅ似のお姉さまではございませんか。
 コスチュームもってとこが、ちょと笑っちゃいますケド。
 え? どんなコスチュームか、って? はい、みなさま、想像力を働かせましょう。
「はい、なんてゆうか、まだまだです」
「そうね」
 ミキの行動評価が表示さえているらしいモニターを見ています。
「告って、OKになったのは、あなたの実績になります」
「はいっ」
 ミキ、素直にうれしそう。
「けど、プチ・ラウド・スピーカーはいけません」
「あ、はい」
「あれは、仲間に危険を知らせたり、あるいは、仲間を緊急呼び出しするためのものです。いずれにしろ、ジンルイには聞こえません」
「はぁ」
「背中を押すときは、あくまでも天使のささやき。心の声として、ジンルイのココロに響かせるのです」
「わかりました」
「ま、いいでしょ。それで、二人は仲直りしたのね」
「はいっ」
「シアワセ感が高まっていれば、この案件はもういいでしょう。あなたの実績として、打ち切りにします」
「はいっ」
 うれしそうなミキたん。
 ところが、モニター見ていたきゃりぱみゅ教官が、ん?
「あら、打ち切り拒否になってるわ」
「え?」
「なにか、新しい障害が出ているようね」
「新しい障害?」
「継続案件にするしかないわね。地上に帰って、観察に戻りなさい」
「はぁ~い」
 ここで、きゃりぱみゅ教官がちっさくため息。
「これだと、初期研修の終了はムリね。もうしばらく、マキにお世話をお願いしなさい」
「分かりました。失礼します」
 またまた礼儀正しく一礼。退室したミキは、ぱたぱたぱた。学園をあとに、継続案件になっちゃった沙保里と健二のようすを観察するため、マキのいる雲の上に戻ります。
 ぱたぱたぱた。
 あ、いましたいました。
「マキさん」
 誰かを観察中のマキが乗った雲に、ひらりと舞い降ります。
「おう、戻った」
 と、見れば、マキの横にはカオリンもいるではありませんか。なんで、二人して。
 あ、それどころじゃなかった。
「あの、沙保里さんの件なんですが、継続案件って言われちゃって、なにか、新しい障害が出ているとか・・・」
「しっ、今いいとこ」
 と、カオリンと二人、観察をつづけるマキ。
 どうなってるんでしょと、ミキも雲の下を覗きこむと・・・。
 そこはあの、下校時の回り道の、川沿いの道でございます。
 そこを行くのは、いつものように沙保里と、雲母と書いてきららと読む仲良し二人組。
「い~じゃない、優しくなったんだったら」
 はは~ん、健二くんの噂だな、こりゃ。
「なんだけどぉ、優しくなったら、なんかうざいんだ」
 おや、沙保里ちゃん、どうしちゃったの?
「ふ~~ん」
 と、こちら思わせぶりななが~い返事のあとで、おや、きららちゃんの目が、どこかいたずらっぽくきらり。
「じゃ、奪っちゃおっかな」
 え? なんてことを。
 ミキが首を突き出してよおっく見れば、ありゃま、ぬあんと、その背中には天使の矢が刺さってるじゃありませんぬか。
「誰、誰なんですか、きららさんの背中に・・・!」
 思わずマキとカオリンの顔を見れば、マキはなんだかあっち向いて知らん顔。でもってカオリンは、ひっひっひと目顔でマキを・・・。
 えっ? えっえっ、えっ?
「マキさん、マキさんの矢なんですかっ?」
「あ~、まぁ」
「まぁって、狙ったんですか?」
「まさか、たまたま、たまたま」
「おかげで継続案件になっちゃったじゃないですか。どうするんですか」
「だって、このほうがおもろいやん」
「お、おもろいって、そんな・・・」
「あんた、小悪魔むき」
 口をはさむカオリン。
「い~え、あたしはあくまで天使実習生」
「んじゃ、ヒトのシアワセとフシアワセ、どっち見るのが好き?」
「そら、ヒトの不幸は蜜の味でしょうが」
「だよねぇ」
 と、目線交わして、にやりのマキとカオリン。
 え? え? え?
 おやミキたん、お目々まん丸になってます。
 そらそうだわな。
 では、ミキの心の声で、このおハナシを終わります。
「わたしのお世話係、とんでもないテンシなのかも」

 はい、てなわけで、ヒトの運命は天使と小悪魔にしょっちゅう引っかき回されているのであります。
 そう思えば、運がいいとか悪いとかゆうのも、納得できるというもので・・え? なんか、マキから一言あるそうです。
「あたしのおイタに逆らうとこが可愛いんだよね、ニンゲンって」
 あ、そうっすか。
 どうなることやら。
 では、次回をお楽しみにっ。
 ちゃみでしたっ。

[つづく]
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by planetebleue | 2016-02-29 17:55 | かたゆでエンジェル

ご無沙汰でっす!

 ご無沙汰でっす。

 なんとまぁ、おおよそ一年のご無沙汰でございますよ。
 え? その間、なにしてたのか、って?
 まぁまぁ、世間並みにいそがしく、人並みにサボっていたのでございますよ。
 そこはツッコミなしでお願いいたしますです。

 でもって、一年ぶりに再会するこのブログでございますが、なんとリニューアルでございます。
 そらそうだわな。一年もほったらかしといて、何食わぬ顔で再会ってわけにもいきませんわな、そりゃ。

 てなわけで、このたび、蒼辰が書くおハナシを公開するサイトとして再出発することとなりました。

 おハナシですよ、おハナシ。
 世間で言うところの小説に区分されるようなアレでございます。

 なんですか、今年の蒼辰は、二月に新しいことを始めるとい~ことがあるんだそうで、いつもどおりのオセオセなのではございますが、二月も終わり近い、明日29日に、最初のおハナシをアップする予定になっております。

 その後のことは例によってその後にならないと分かりませんので、ここでは予告はいたしませんが、随時アップする予定になってるのだそうでございます。

 なにわともあれ、再開のご挨拶と、リニューアルのお知らせでございました。

 ほいじゃ明日、楽しみに待っててね。
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by planetebleue | 2016-02-28 17:57 | ちゃみのMC