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16年春リニューアルしました! 蒼辰が書くおハナシを随時アップしております。ちゃみのMCともども、読んでやって下さいまし。
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1月の歌舞伎座から・おつぎは「金閣寺」

 まいどっ、ちゃみでっす。
 さて今週は、歌舞伎座1月の演目にちなんだおハナシをしております。
 昨日が、夜の部の二番狂言「女暫」でしたが、本日は、昼の部の一番狂言「金閣寺」でございます。
 本外題、つまり元々のホントのタイトルを「祇園祭礼信仰記」といいます。
 その四段目の切りが、通称[金閣寺]と呼ばれている一幕でございます。
 ドラマが凝縮されていることや、舞台面(ぶたいおもて)の美しさから、この幕だけが上演されることが多いお芝居です。
 初演が、1757年 宝暦7年でございます。
 おおよそ、260年も昔のことでございますよ。それからずっと、上演され続けているのであります。
 古典です。
 もっとも、初演は、人形浄瑠璃としてでございました。
 ケド、大変に人気を博したので、翌月にはもう、江戸と大坂、双方で、歌舞伎として上演されたとか。
 早いですね。
 江戸時代って、イメージよか情報の伝達、早かったのかもしれません。
 つうか、お芝居の関係者が、情報収集に努めていたというべきなのかな。
 こんなふうに、人形浄瑠璃で初演され、のち歌舞伎としても上演されるようになった演目、いっぱいあります。
 これ、女優が禁止になり、若衆も禁止され、野郎歌舞伎になったものの、イマイチだったころに、人形浄瑠璃のほうが、近松門左衛門などの活躍で人気を博した。
 そこで、じゃこっちでもやろうと、歌舞伎に導入した、と言われてます。
 ところで、人形浄瑠璃、いわゆる文楽、見たことあります?
 これ、歌舞伎以上に、見たことないヒト、多いかもね。
 東京だと、国立の小劇場なんかで、年に何回か上演してるんですけどね。
 ケド、写真とか映像とかくらいは、見たことあるよね、きっと。
 人形浄瑠璃は、三味線を伴奏に、太夫が義太夫節を語り、その語りに合わせて、人形が演技をするわけです。
 なので、台詞パートも、ト書きにあたるような情景描写の部分も、一人の太夫が語ります。
 んがっ、歌舞伎では、台詞パートは、もちろん役者さんが受け持ちます。
 なので、義太夫との、いわば掛け合いのカタチで、お芝居が進行します。
 こういう形式で演じられるお芝居を、歌舞伎のほうでは、義太夫狂言という言い方をします。
 い〜んだ、これが。
 先ず三味線。ふつうのチントンシャンの三味線ではなく、太棹という三味線を用います。
 これが、ベン、べべ〜ンと、お腹に響きます。
 でもって、抑揚のある、太夫の語り。
 独特の節回しの語りなんですが、歌じゃなくて、あくまで語りなんです。
 そのハナシは、いずれどっかで、邦楽のハナシとしてまとめてやりますので、今回はスルーしてください。
 この太棹の、べべ〜んと、太夫の義太夫節によって、一気に、義太夫狂言らしい世界へと浸るわけでございます。
 ホント、浸るってコトバがふさわしい、独特の空間でございます。
 でもって、金閣寺。
 幕が上がると、舞台の真ん中に、金閣寺がど〜んとあります。
 主な登場人物は、国崩しと呼ばれる、松永大膳。
 今回は、染五郎さんが演じてます。
 このヒト、国を盗ってやろうと企んでいる悪人です。だから、国崩し。
 つぎに、比下東吉。勘九郎さんです。
 これ、木下藤吉郎をもじった名前です。江戸時代、実在の歴史上の人物の名前、まんま使うと、幕府がうるさかったので、こういう名前の付け方、歌舞伎には多いです。
 で、このヒトは、敵方の家来だったんだけど、見限って、大膳の軍師になろうとやってきます。
 ところが、実はやっぱり、反松永派だったという役どころ。
 そして、雪姫。
 七之助さんが演じます。
 このお姫さま、三姫のひとつと言われる、女形にとっての大役のひとつです。
 それだけでも、なんかちょっとわくわくしない?
 で、おハナシは、雪姫の窮地を、東吉らが救い、大膳と、いずれ雌雄を決することを約して分かれる。
 そいうおハナシです。
 でもって、主要登場人物には、それぞれ見せ場があります。
 東吉は、大膳から、井戸に投げた碁笥を、手を濡らさずに取れと、試練を受けます。
 あ、碁笥って、碁石を入れとく、壷みたいなやつね。
 そこで、滝の水を井戸に注いで、碁笥を浮かび上がらせ、扇で取るというとこが、見せ場のひとつです。
 まるで一休さんみたい。
 大膳は、盗んだ宝刀を抜いて、滝に龍を出現させます。
 雪姫は、もっと大変。
 途中で、逃げようとしたために、縄でゆわかれちゃうのです。
 しかし、雪舟の孫という設定の雪姫、お祖父ちゃんの故事にならって、桜の花びらを集め、足でねずみの絵を描くのです。
 すると、あ〜ら不思議、白ねずみがあらわれ、ゆわいた縄をかみちぎってくれるのでありました。
 まるでおとぎ話みたいでしょ。
 ってゆうか、ゲンジツにはあり得ない、マジカルな出来事が、ヒーローやヒロイン、さらに悪役によっても演じられ、そんな中で、ヒロインは救われ、悪との対決へと向かってゆく。
 どこか、ヒーローもののコミックかアニメのような世界でございます。
 あや、反対だ。
 きっと、歌舞伎の中で演じられてきた、ストーリーやドラマ、あるいは人物の面白さ、そのココロが、時代劇映画へと受け継がれ、やがてコミックやアニメの世界にも、流れこんでいったのかもしれません。
 歌舞伎で描かれる世界が、ニホンジンのココロである、というのは、こういうとこに理由があるんでしょうね。
 なにせ、興行。当時のお客さんに受け入れられなくては、何百年も上演されるような名作にはなりませんものね。
 でも、ま、歌舞伎ですから、アニメやコミックのように、血湧き肉躍ることはありません。
 そこは、おっとりしてます。
 そのかわり、どこまでも美しい舞台面が楽しめます。
 歌舞伎の舞台は、どの一瞬を切り取っても、絵になっていなければいけない、といいます。
 その場面、控えに回る人物も含めて、絵になっていなくちゃいけないのです。
 そのため、美しさのためには、リアリティ、犠牲にしているとこさえあります。
 でも、いいんです。
 現代人のリアリズム馴れした目からは、あり得ない、ヘン、と思われようとも、美しさが優先するのであります。
 だから歌舞伎は、きれいかどうかで見てください。
 すると、ほら、ほかの演劇とは違う、歌舞伎の魅力が見えてくるはずです。
 その美しさを表現するために、いかに洗練された技巧がこらされているか。
 そこにわくわくしたら、もうアナタも歌舞伎ファンというわけでございます。
 またハードル上がっちゃうから、あんまし“芸術”とか言いたくないんですけどね。
 でも、そこにこそ、歌舞伎の芸術性があると言ってもいいかもしれません。
 歌舞伎とはキホン、うっとりするものなんだナ。
 おとぎ話のようなおハナシ、義太夫節が奏でる独特の世界、そして、絵のように美しい舞台面。
 さわやかで、スッキリとしたキモチになる一幕でございました。

 てなわけで、本日はここまでです。
 明日も、今月の歌舞伎座の演目にちなみ、昼の切り狂言「一本刀土俵入」から、おハナシをはじめる予定になってます。
 ほいでわまたっ。
 ちゃみでしたっ!
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by planetebleue | 2015-01-21 19:09 | 読むラヂオ
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