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16年春リニューアルしました! 蒼辰が書くおハナシを随時アップしております。ちゃみのMCともども、読んでやって下さいまし。
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1月の歌舞伎座から・おしまいに新歌舞伎。

 まいどっ、ちゃみでっす。
 さて今週は、1月の歌舞伎座の演目にちなんだおハナシしてきました。
 今日はですね、昼の部の切り、「一本刀土俵入」のおハナシからです。
 これ、新歌舞伎といわれているお芝居のひとつです。
 新歌舞伎ってゆうのわ、簡単にゆうと、明治以降になって作られた作品で、それまでの歌舞伎の決まり事を破ったお芝居のことを言います。
「一本刀土俵入」、その典型の一作でございますね。
 先ず初演。なんと、1931年 昭和6年でございます。
 歌舞伎四百年の歴史を考えると、どんだけ新しい作品かわかると思います。
 で、作者が長谷川伸。
 この方、大正から昭和初期にかけて活躍された、作家にして劇作家でございます。
 でもって、股旅ものの創始者なのであります。
 そも、「一本刀土俵入」って、わりと知られたおハナシですよね。
 取り的の駒形茂平が、銭もなく、腹を空かせていると、酌婦のお蔦さんに、巾着ごとお金を恵んでもらいます。
 きっと立派な相撲取りになると約束して分かれる茂平。
 しかし、その十年後。
 お蔦は、いかさま博奕で追われる亭主と、逃げ出さなくてはいけない始末。
 そこに戻ってきたのが、立派な相撲取りならぬ、立派な渡世人となった茂平。
 茂平は、あのときの恩を返すために、お蔦夫婦を助けるのでありました。
 ざっとこんなおハナシです。
 で、いわゆる旅回りの一座などでも、しばしば上演されている作品ですよね。
 長谷川伸さん、ほかに「関の弥太っぺ」なんかもお書きになっております。こちらも、旅回り一座でお馴染みの股旅ものでございます。
 ほいじゃ、この「一本刀土俵入」が、どうして新歌舞伎と呼ばれているか、そっからいきましょうか。
 え〜っと、それまでの歌舞伎の約束事を破った作品と、さっき言いましたよね。
 んじゃ、「一本刀土俵入」が、どんなとこで、歌舞伎の約束事を破っているか。
 先ず、音楽、入りません。
 いわゆる下座の演奏が、一切ないんです。
 あ、下座って、ほら下手、花道があるほうよりのとこに、大道具に除き窓みたいなのが切ってあるとこ、あるでしょ。
 あの場所、または、あの中で、伴奏音楽を演奏するヒトビト、または、鳴り物も含めた伴奏・効果音すべてを呼ぶ言い方です。
 ほら、歌舞伎では、い〜感じのとこに三味線の音が流れてきたり、雷の鳴るとこじゃ、太鼓がどろどろって鳴ったりするでしょ。
 あの手の、歌舞伎独特の背景音楽と効果音が、下座です。
 この下座の演奏が、「一本刀土俵入」ではまったくないのです。
 そりゃもう、寂しいくらいに、ない。
 さらに、見得を切る場面もありません。台詞も、もちろん時代性は出していても、歌舞伎特有の重く、抑揚のあるものではありません。
 っつうか、もうまったく現代演劇ですよ。
 新劇どころか、高校の演劇部でさえ上演できそうなくらい、ふつうに現代演劇です。
 ってゆうか、ふつうに現代演劇の戯曲なんですよね。
 こうしたスタイルのものを、今、新歌舞伎と呼んでいるわけなのです。
 あ、そうそう。「一本刀土俵入」には、もうひとつ、画期的なことがありました。
 タイトルが、漢字6文字なのです。
 あのね、偶数は、陰陽道では陰の数、奇数が陽です。
 そこで、歌舞伎の生まれた江戸時代には、タイトルに偶数文字数、嫌ったんですね。
 ま、縁起担ぎです。
 なので、かなりな宛て字タイトル、あります。
 弁天小僧で有名な、白波五人男。あのお芝居のタイトル、っつうか、本外題ってゆうんですけど、[青砥稿花紅彩画]です。
 読めます? ふつう、読めないと思います。
 正解は、[あおとぞうしはなのにしきえ]です。
 もいっこ。河内山宗俊で有名なお芝居は、[天衣紛上野初花]〜[くもにまごううえののはつはな]です。
 ほとんど宛て字大会だよね。
 しかも、奇数文字にするための宛て字も中にあるわけ。
 これが、江戸時代からつづく、歌舞伎の約束事のひとつでありました。
 この約束が破られた最初が、「一本刀土俵入」の六文字外題だったのであります。
 こうして、歌舞伎は、ほとんど現代演劇と同質な、新歌舞伎というジャンルを獲得したのでありました。
 同時に、股旅ものというジャンルが生まれ、大衆演劇や、映画の世界での、ひとつの大きなジャンルにまでなってゆきました。
 あのね、反対にいうと、江戸時代から明治までは、股旅もののお芝居、ないからね。
 そら、江戸時代にも、いわゆるどさ回りと呼ばれる旅芝居、ありました。
 けど、やってたのは、あくまでも歌舞伎の演目だかんね。
 なんせ、江戸時代、演劇といえば、歌舞伎っきゃなかったんだから。
 ここんとこ、お忘れなく。
 そいえば、昨日、金閣寺のおハナシで、まるでおとぎ話のようなヒーローもの的ストーリーが、のちの時代劇映画や、さらにのちのコミックやアニメにまで、その精神みたいのが、流れこんでいるのではないかというおハナシをしました。
 まったく実際、股旅ものなんて、歌舞伎とは異質なものかと思ってたら、その源流は、歌舞伎にあったのでございました。
 それと同時に、歌舞伎は新歌舞伎というジャンルを得て、江戸時代よりも、少し幅を広げたのでございます。
 そうなんです。
 歌舞伎は、四百年の歴史を持つ、ニッポンの伝統芸能でございます。
 でも、昔のカタチを守ってるだけじゃない。いつも、新しい演出を加え、新しい作品を加え、新しいジャンルを加え、更新され、革新され続けている演劇でもあるのでございます。
 だからこそ、江戸時代とほぼ同じ舞台面を楽しめるかと思えば、未だかつて見たこともない新しい演劇体験もできる。
 そこも、歌舞伎の魅力だと思うのであります。

 てなわけで、今日はここまでです。
 でもって、今回の歌舞伎のハナシも、ここまでです。
 明日は、upありません。
 来週も、火水木up目指します。テーマは、時節柄、中学受験、と思ってるんですけど、どうなるんでしょ。
 ほいでわまたっ。
 ちゃみでしたっ!
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by planetebleue | 2015-01-22 19:05 | 読むラヂオ
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