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16年春リニューアルしました! 蒼辰が書くおハナシを随時アップしております。ちゃみのMCともども、読んでやって下さいまし。
by planetebleue
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#2「天使のオウヨウ」その3

 5

 これを見て、にやりとほくそ笑むのは雲の上のマキさまでございます。
「うまくいったじゃねぇか」
「はぁ」
 と、気のない返事のミキちゃま。
「い~んでしょうか、本当に」
「瑠里花、よく考えたじゃないか。きっとうまくいくよ」
「不正行為は不正行為です」
「お前って、ホント、ヘンなとこマジメな」
「それをいけないコトと思ったことは、かつてありません」
「幸太にとっちゃ、人生の冒険ってヤツさ」
「確かに、冒険ではありますけど」
 へ?
 大げさに言ってみただけだったのにね、マキさま。
「ともかく、見てみようよ」
 と、教室に向かう幸太を眺め下ろした、その時のことでございました。
「がははははっ」
 どこやらで聞いた下品な笑い声が上空から聞こえてまいります。
 いや~な予感で上空を見上げるマキとミキ。
 するとなにやら煙のようなちっちゃこい黒い雲が浮かび、そこからぬっと顔を出したのは、あ~らま、ちょ~かわゆいお顔。
「小悪魔の手伝いとはご苦労さまだね」
 そう、小悪魔のカオリンでございます。
 こちら、天使実習生のジャマをするのが実習の見習い悪魔。見習い天使の矢が刺さった恋を破綻させると成績アップという、天使実習生とは真逆のお立場でございます。
「小悪魔の手伝い?」
「どういうことですか?」
 不審そうなミキとマキの前に、すぅっと近づいてくる黒い雲。
「あたしが先に、カンニングしたらと囁いておいたのさ」
「ええ~っ」
「ええ~っ」
 あ、ふたつあるのは、ひとつがマキ、もひとつがミキでございますね。
「天使にまで囁かれりゃ、そりゃその気になるわな」
 いっひっひっと笑う顔さえかわゆいんだな、この小悪魔。
 マキさんとミキさん、そりゃげげ~~っでございますわな。
「かなりカツフジしてたけどね」
「カツフジ?」
「そっ、カツフジしてた」
「なんだそりゃ?」
「お前ってコトバ知らねぇな。ほら、こっちにしようか、あっちにしようか、ココロがせめぎ合う状態」
「それを言うならカットウじゃっ」
「へ?」
「お前こそ、漢字読めねぇくせに」
「葛藤。カツフジ。ま、読めないこともないかと・・・」
 と、ミキちゃま。
「とんかつ屋の屋号じゃねぇや」
「そ、それでもなんでも、迷ってるヤツの背中を、見習い天使が押してくれたんだ。まぁ~ったくご苦労さまっ」
 自分が追い詰められたら、相手の痛いところを突く。さすが小悪魔。
 けどミキさん、冷静に反論いたします。
「でも、成功すれば、こちらの成績です」
「そうそう。赤点さえクリアすりゃこっちのもんだぜ」
 ふんっと鼻で笑うカオリン。
「あやつはマジメなラガーメン。カンニングなんぞしようとすれば、挙動不審でたちまち発覚するのがオチさ」
 え? と教室の中を覗きこむマキさまとミキちゃま。
 するとなるほど、幸太ったら腕時計いじくったり、外して置いて、また動かしたり。さらには上半身のばして、前の高橋くんの机の上を覗きこんだり。
 明らかに挙動不審なのであります。
「カンニングで摘発されるんだ。赤点取るよりもっとひどい結果になるぜ」
 あっりゃ~っ。さすがのマキさままでなにも言い返せません。
 そもそも不正行為なんか囁くからこういうことになるんだ。後悔のミキ、それでも一言、
「うまくいくかもしれないもん」
 けど、声小さい。
「いかないっ」
 カオリン、声大きい。
「全てを失って一からやり直してもらおうじゃないか。ふぇっふぇっふぇっ。これぞ小悪魔のい~仕事」
 ごきげんなカオリンを、マキさまがむっと見返します。
「けど、あの子にとってはそれもひとつの経験。人生のプラスになるかもよ。そしたらそれもシアワセというものじゃないか?」
「ふんっ、見習い天使がよう屁理屈こくぜ」
 確かに。いくらなんでも屁理屈でございますよ、マキさま。
「ちぇっ」
 舌打ちすると、マキさん、背中の羽根でぱたぱたと飛び上がります。
「ミキ、最後まで見といてな」
「マ、マキさんっ」
「コンビニでアイス食ってくら」
 ぱたぱたぱた。飛び去ってしまったではありませんか。
「マキさん、それ校則違反」
 つぶやくミキに、
「結果、賭けるか?」
 と、カオリン。
「は~あ」
 茫然と雲の上に座りこむミキちゃまでございました。
 *
「あら?」
 それから一時間ほどのちのことでございます。
「試験終わったみたいです」
「なぬ?」
 ぞろぞろと教室から出てくる中に、不安と達成感がいりまじったような顔をした幸太くんもちゃ~んといるではありませんか。
「カンニング、めっかんなかったんか?」
「さぁ」
「さぁって、お前、見てなかったのかよ」
 ま、そ~ゆ~カオリンも、勝ったも同然と、ポテチ食いながら動画サイト見てたんですけどね。
 でもってミキは、ただただぼぉ~っ。
「どぉ~なったんだよ」
 奇声を発したカオリンが、ん? となにかに気づきます。
「けどさ、点数がいってなけりゃこっちのもんだよな」
「カンニングうまくいったかもしれないもん」
 自信なさそうにぶつぶつぶつのミキ。
 と、二人して地上の幸太を目で追っております。
 さてその地上。
 下駄箱入り口の角のところに、瑠里花ちゃんが駆けつけます。
「どうだった?」
「うん」
 と、先について待ってた幸太くん。
「自信はない。けど全力は尽くした。俺はラガーマンだ。勝ち負けじゃない。後悔したくなかったんだ」
 ですと。
「幸太くん」
 瑠里花、胸きゅん。
 けど、この場面、おかしくねぇか?
 そもカンニングさせたのは瑠里花じゃん。でもって、そのおかげで赤点クリアしたって、どこが[俺はラガーマン]なんだよ。
 この卑怯者。
 けど、あれ?
 ちゃみもちゃんと見てたわけじゃないんだけど、幸太、腕時計の裏、見たっけ?
 確かにちょうど終了五分前、前の席の高橋くんが大きく体を傾けたときも、下向いて解答用紙になにか書きこんでたような・・・。
 *(時間経過)の間に、なにがあったんだ?
「ルリカの気持ちには感謝してる。ってゆうか、ルリカにそこまでさせた自分が情けなかったんだ。だから・・・」
「え?」
「自分の力で、勝負してきた」
 がちょ~ん。そゆこと。
 その瞬間、瑠里花ちゃんは、幸太のココロが男前っ、と思う反面、赤点やっちまったんじゃね? という不安が交錯したのであります。
 実力勝負で、赤点、クリアできたんだろか。
 もしもできなかったら、あたしは、そして幸太は・・・。
 複雑な思いが瑠里花の胸を締めつけ・・ってか、この場にいたってなんだけど、ちゃんと授業受けろよな、幸太。
 心配で心配でしょうがない瑠里花ちゃん、その場で早速答え合わせしてみることにいたします。
 それはい~んだけど、この幸太ってヤツが、回答欄になに書いたか、ろくに覚えてないんでやんの。
 なので答え合わせしてもあいまいなとこができちゃう。
 ねぇ瑠里花ちゃん、ホントにこの男でい~の? そりゃ見た目ちょっとイケてるし、グランドじゃもっとイケてるけどさ、にしても・・・。
「ここ、b選んだんだよね」
「あ、うん、確か、b」
「よっしゃいけるよ。届いた。多分、届いてると思う」
「マジ?」
「うん、頑張ったね、幸太くん」
「ああ」
 と、見つめ合う瞳と瞳・・って、なんかさぁ、想定してたのと結末ちがくね?
 どうなってんだ。
 雲の上じゃ、ミキちゃまはほっと胸をなで下ろし、カオリンは絶望でひっくり返ってましたとさ。


 6

 それから一週間後。返された答案を見てみると、幸太くん、きわどい科目もありましたが、なんと一教科も赤点を取らず、見事にクリアしたのであります。
 え? きわどい教科?
 んなもん、ブツリに決まってるでしょうが。
 そんなわけで、先ずはめでたしめでたし。瑠里花と幸太はすっかりカップル気分。
「クリスマス、どうする?」
「お前、決めろよ」
 とかなんとか。
 やっちゃいらんねぇわ。
「よかったです」
 と、こちらはミキ。
「わたしの成績も少しは上がったと思います。もしかしたら初期研修、終了させてもらえるかもしれません。ありがとうございました、マキさん」
「まだ気が早ぇよ」
「そうですか? でも、あのカップルなら、きっともっと親密になりますよ。そうすれば、わたしの成績も・・・」
 と、言ってるそばから、ぴ~ろぴ~ろぴろぴろぴ~っと鳴る着メロはど~ゆ~わけかMCZ。
「あ、せんせからメイルだ」
 と、タブレットの画面をしゅっ。
「あれ?」
「どうかしたか」
「マキさんといっしょに報告に来いって」
「あたしも?」
「ええ、なんででしょ」
「きっとなにか用があるんでしょうよ」
 って、マキさん、なにか身に覚えがありそうですぜ。
 *
 てなわけで、ミキとマキ、雲の上にありながら緑豊かな、カミサマ学園のキャンパスにやってまいります。
 手入れの行き届いた庭園に囲まれ、瀟洒な校舎が点々と並ぶ、まるで絵に描いたような美しい学園。
 すいませんねぇ、この描写。
 作者によりますと、なにしろカミサマ学園なので想像に頼ってもらったほうがいいのだとか。
 なので、想像に頼ってください。
 ま、それはともかく、とある瀟洒な校舎に向かうミキとマキの後ろ姿は、萌え系JKそのものなのであります。
 やがて廊下をすたすた。教官室のドアをとんとんとん。
「ミキです。マキさんもいっしょです」
「入りなさい」
 ドア開けて中に入れば、担当教官は衣装までもがきゃりーぱみゅぱみゅ似。
 え? まちっと描写しろ、って?
 はいみなさん、想像力を働かせましょう。
「ミキさん、結論から言いましょう。減点です」
「え?」
「まぁマキさんがそそのかしたんでしょうけれど、天使が不正行為を囁いてどうするんですか」
「やっぱり・・・」
「当然です」
「はい」
 思わず下を向いたミキさん、でもはっと顔を上げると、
「でも、結果はうまくいきました」
「その結果が、どうやって導かれたと思ってるの」
「え?」
「マキさん、分かってるわね」
「そ~ですねぇ~~」
 なにやら天井見てるマキさん。
 え? とその横顔を見るミキさん。
「天使の矢を受けて恋に落ちたジンルイの、その恋愛対象にプチ矢を放ち、囁きを送りましたね」
 ま~だ天井見てるマキ。
 いよいよ、えっ、えっのミキ。
「どうなの、マキさん」
「はい」
「天使の矢を受けたジンルイが恋する相手に、プチ矢を放ち囁きを送る。これ、裏技として校則違反なのはご存知よね」
「はい」
「それも、ミキさんの囁きを覆すようなことを」
「なんて囁いたんですか?」
 そりゃミキちゃま、気になりますわな。
「お前、ラガーマンだろ」
「それだけ?」
「それだけだよ」
「なんで?」
「だって、あの状況だぜ。カンニングめっかって、小悪魔の成績上げさせるくらいなら、させないほうがい~に決まってんじゃん」
「あなたは小悪魔の成績を下げようとしたの?」
「そうじゃなくって、ニンゲンにとってのよりよい方法をとろうと・・・」
「じゃ、最初の囁きをミキさんにそそのかしたのは?」
「それは、ミキに、成績、とらせようと・・・」
「安直ね」
 むすっと黙っちゃうマキさん。
「今回の結果は、あくまで結果論です。あなたがたの成績にはなりません」
「あたしは・・・」
 言いかけるマキ。
「なぁに?」
「ニンゲンの力を信じてみたかったんです。ニンゲンの力ってものを、試してみたかったんです」
「それがあなたのいけないところなのです」
 きゃりぱみゅ似の担当教官、きっぱりと言います。
「前にも言いましたよね。ニンゲンの力を多くの天使が過信したから、世界には不幸が蔓延しているのです」
「そうなんでしょうか」
「え?」
「ホントにそうなんでしょうか」
 マキさん、どこか必死に訴えております。
 ケド、教官は冷静でした。
「結果ではありません。ニンゲンを過信するのは、見習い天使にとっても小悪魔にとっても危険なことなのです。いいですね」
 マキさん、むすっと返事もしません。
「いいですねっ」
「ふぁい」
 不承不承答えてます。
「減点です」
「はい」
「ミキさん」
「はい?」
「もうしばらく、マキさんについてなさい」
「はい」
「マキさん、分かってるわね」
「は?」
「あなたのチューターとしての成績もあるんですよ」
「はい」
 どこか不満げに返事するマキさまです。
 なんかさ、教官といろいろあったような感じしません? 過去に。
 どぉ~こか曰くありげなベテラン見習い天使なのであります。
 そんなことも知らず、ミキはただ、マキの横顔を不思議そうに眺めておりましたとさ。


 7

「なぁ~にやった、マキッ」
 地上に戻ると、カオリンがもんのすごい形相でマキとミキを待ち受けておりました。
 もんのすごい形相っていっても、なんせめっちゃかわゆいカオリンのことでございます。そのお顔もまた、おほっ。
「知ってんだろ」
 うんざりと答えるマキさま。
「おかげであたいまで成績下がったじゃねぇ~か」
 吠えるカオリン。
「ちゃらっ」
「は?」
「こっちも成績下がったんだから、ちゃらっ」
「そ~ゆ~問題じゃないだろっ」
 凄むカオリンに、なぜか遠くを見るような目で答えるマキ。
「後悔してんのさ」
「当たり前だ、校則違反の裏技なんか・・・」
「じゃなくって」
「あん?」
 そこで、は~あと深いため息のマキ。
「お前、ニンゲンの力って、信じてる?」
「んなもん信じたら、裏切られるにきまってんだろうが」
「けど、裏切られてみたいと思わない? タマには」
「はぁ?」
「分かんないか。ま、こんだもっとうまくやろうぜ」
「あ~ん?」
 言われたカオリンがお目々をまん丸にしております。
「じゃな。ミキ、行くよ」
 カオリン残して、マキとミキ、背中の羽根でぱたぱたぱたっと飛び去ってゆきます。
 *
「すいません、マキさん」
「しょうがねぇよ」
「わたし、なんとしても成績を上げて・・・」
「慌てんなって」
「え?」
「もうしばらく、二人してこの人間界ってヤツ、こちょっとかきまわしてみようぜ」
「は?」
 ぱたぱたぱた。
 飛んで行く先輩マキ。
 見送るミキの目が、なにかを語ろうとしております。
 それ、天使としてどうなんですか?
 マキさんって、ど~ゆ~天使なんですか?

 知りたい?
 だったら、また次回ね。
 ちゃみでしたっ。

[つづく]
[PR]
by planetebleue | 2016-07-19 15:59 | かたゆでエンジェル
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